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少子化の何が問題なのでしょうか?


(2001年9月1日)

 小泉首相の発言でも、市議会の中でも、「少子化対策」が取り上げられることが多くなりました。ちょっと気になるのは、「少子化がこのまま進むと、人口が減り、将来、労働力が不足する」という論調です。

「ふざけないで。女性は労働力のために子どもを産んで育てるわけじゃない」と思ってしまいます。まるで戦時中の産めよ増やせよ、みたいな論にも反発を覚えます。

 大きな声では言えないのですが、少子化が進んで、人口が減ったら、限りある資源も浪費しないですみます。環境破壊も、少しは抑えられることでしょう。第一、日本の国土を考えたら、人口が今の半分になったくらいが、ちょうどよいのかも知れない、と思ったりします。

 少子化・高齢化によって、高齢者人口が増えるなら、その人口比に合わせて、制度を上手にスライドさせていくことを考えることが必要でしょう。年金の支給時期をずらしていくなら、それと平行して、働ける期間を長くし、元気な高齢者は現役で働き続けられるシステムをつくることも必要でしょう。

 子育て支援と称して、保育所の待機児解消などの政策が急浮上しています。確かに、子どもを産み育てるのと仕事を続けることを両立させるのはむずかしいけれど、それだけで子どもを産むのをやめるほど、子どもをもつことは価値の小さいものではないはずです。

 働く女性のために、さまざまな施策を充実させてくれるのはうれしいことですが、長時間保育や二重保育が可能になることによって、子育て世代の負担や、子どものストレスが重くなるという面もあります。ゆったりと子育てしながら働くことのできる労働条件や保育・子育て支援、一方でそれも検討しながら、当事者の立場に立った施策を望みたいと思うのです。

 それよりももっと、根本的なところに問題がありはしないでしょうか。人間が子孫を残すのは、自分が生きてきた足跡を、未来につなげたいというのが、もっとも大きな理由ではないかと思うのです。

 自分の生きてきた道を、次代にバトンタッチしたい、と思える社会状況でないことが、一番大きな、少子化の原因ではないかと思うとき、真剣に大人の生き方も、社会のあり方も考え直す時期にきているのではないか、と考えます。

 本当の改革を、国の政策や経済問題の解決だけに求めるのではなく、自分たち一人ひとりも真剣に考えたい、と強く思うこのごろです。

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