一般質問(2001年3月13日)その2
●放課後児童クラブについて
この問題につきましては、先に村松議員も取り上げました。そこで、できるだけ重複を避けるように質問したいと思います。ご答弁もそれにそってお答え下さいますよう、お願いいたします。
放課後児童クラブの役割は、いうまでもなく、ご両親が働いているなど、日中、家庭が留守になっているお子さんを対象にするもので、放課後、あるいは休業中にお子さんを家庭に替わって面倒をみる、という、いわば子どもたちにとって第2の家庭とでもいうべき存在である、というふうに認識しております。
我が家の二人の娘は、まだ民営の時代の学童クラブでお世話になりました。
我が家の子どもたちにとって、学童で過ごした期間は短かったのですが、とても貴重な財産となっております。
その一つは、異年齢のお兄さんやお姉さん、弟分、妹分とでもよぶべき、たくさんの仲間がいることです。この仲間との交流は、大きくなってからも続いております。
もう一つは、指導員さんや学童仲間のお父さん、お母さんなど、自分の親以外に成長を見守り、気にかけてくれる、たくさんの大人の人がいる、ということです。これも、成長した今でも気遣ってくれる、本当にありがたいことだと思っております。
もちろん、放課後児童クラブに限らず、ご近所づきあいや子供会など、地域活動の中でもそのような関係性は育つことでしょう。しかし、毎日、「ただいま」と戸をあけて帰り、「おかえり」と出迎えられる、そして空間や体験を毎日共有する、という緊密な関係性の中で育った体験には、非常に得難いものがあります。
その体験の中で、指導員さんの役割はこれは計り知れない大きなものがあると実感しております。また私も子どもを預けた体験の中で、そのお仕事の大変さも見聞きしてまいりました。
それでも、民営の時代にはその大変なお仕事に見合うだけの待遇を保障できないクラブが多かったこともあって、私たち父母の会は、長年、学童保育を是非公立公営で、と運動し参りました。念願かなって、平成10年度より公立公営となって3年たったわけです。
公立公営になるに当たって、指導員さんが市の正式の職員になると、それまで指導員を勤めてくださった方の中で、年齢や資格の面で指導員を続けられなくなってしまう方が出る、という問題に直面しました。私たちは、是非、それまで指導に当たって下さっていた指導員さんが、指導員さんとしての仕事を続けられるようにしてほしい、と運動して参りました。
その願いをくんで下さり、その問題に対処するために、福祉公社の嘱託という雇用形態をとらざるを得なかった、ということは、開設当時としてはやむを得なかったのだろう理解しております。
しかし、3年を経過して、現在、問題点も出てきているように思います。
1年ごとの嘱託契約であることから、経験が加算される昇級の対象にならず、ベテランの指導員さんと新任の指導員さんの給料や手当が同額になっております。
これでは、新人の指導員さんの指導に当たるなど、精神面でも負担が大きいベテランの指導員さんにとって、決して満足できる待遇であるとは言えないと思います。また、意欲を持って指導員さんになった若い人たちにとっても将来的な展望が見いだせない、ずっと働き続けたいという意欲を奪うことになってしまいはしないでしょうか。
若い指導員さんの入れ替わりがあって、せっかく仕事に慣れたとほっとしたところでやめてしまう、という例もあると聞いております。
先の村松議員に対する答弁の中で、福祉公社の理事会で、経験給加算のことが議題となったとありましたけれども、その経緯について、お答えください。
峯山健康副支部長
放課後児童クラブの指導員の、とくに雇用体系、雇用契約、経験者また新人との給料の格差がない、若い指導員についても、将来の希望がもてないというような待遇面を中心にしてのお尋ねでしたが、これにつきましては、確かに若い職員が他の職に移っていくという現象はあるわけでございます。
しかし、その待遇については、他市の実態等を勘案して定めておるのが現在でございます。このため、期末、勤勉手当等についても、一般職員とおなじように同月分の支給を行っておりますので、年収で比較した場合には、他市に比較して、一概には低いといえないのが現実でございます。
しかし、開設して丸3年を経過し、指導員からは給料表導入等の要望も受けております。今後、経験を加味した給料体系を検討していくというような考えを、福祉公社でももっておりますので、これらについて、十分その推移を見守りながら、協議して参りたい、このように考えているところでございます。
これらについては、今後、給与体系を何らかの形で経験給なんかを導入していきたいという考えをもって、現在、研究を進めております。
●放課後市道クラブについて再質問
放課後児童クラブについて、再度お尋ねいたします。
さきほど、健康副支部長から、他市と比較しても待遇面で遜色はないというお話がございました。確かに、他市町村との比較で、そんなに給料、手当が低いということではないんです。
ただ、私の手元の資料によりますと、昨年平成12年1月から12月までの指導員さんの実働時間、年間1.808時間、これはこれは市役所の職員の年間実働時間1.852時間よりわずか44時間少ないだけなんですね。で年間の所得を見ますと、お給料が1ヶ月13万3千3百円、これは市役所の高校新卒の初任給15万2千円という金額よりも2万円近く低くなっています。お給料と手当を合わせた年間所得、2百2十万強、これは一般職の方の年間所得の平均の三分の一以下だと思うんです。
放課後児童クラブの指導方針として、「あくまでも家庭にかわり、家庭的な雰囲気の中で子どもたちの自主性、主体性を重んじ、自由でのびのびとした保育を目指す」とあります。でその指導内容は、「毎日の生活の中で『きまり』『けじめ』『善悪の判断』『他者への思いやり』『言葉づかい』等、家庭生活及び社会生活に必要な基本的な生活習慣を身につけさせるよう指導する。また、子どもたちを危険から守ると共に仲間や指導員との遊び・生活を通して子どもたちが健全に育つよう指導する」とあります。
このように指導員さんの役割は、お父さん、お母さんがわりであるだけでなく、またときには学校の先生の役割に近い面もあり、けがをしたり具合が悪くなった時には、養護教諭や看護婦さんの役割も果たさなくてはならないということになります。
また昨今の社会背景の中で、心の問題を抱えている子どもさんがいたら、ときにはカウンセラーやセラピストの役割も果たさなくてはいけないことでしょう。
このように、非常に人間性の豊かさと経験が必要とされている仕事でありながら、待遇面では十分保障されていないという現実があるのではないかなと思います。
今後、経験給を加味していく、というお話ございました。埼玉県内の中で市町村を合わせますと、給料形態でがいろいろあるので一概にはいえないのですが、三分の一くらいの市町村で経験給を用いた給与表ができております。市だけでみますと。多分半分に近い19市で経験給を加味した給与体系表ができていると思うんですけれども、是非、この実現、早急にしていただきたいと思います。
峯山健康福祉部長
指導員の待遇の関係でございますが、これにつきましては現在3年を経過したこともあり、経験給について等、それらについて加味して、これらを検討させていただいております。
指導員のいろいろな役割、それから大変なお仕事をやっていただいているというのは十分承知しているわけでございまして、これらについては経験給だけが春日部市ではちょっと不足しているということは十分承知しているわけでございまして、これらも含めて、今後検討させていただきますが、ただ、なかなか何事をやるにも財政的なお話ばかりさせていただきますが、放課後児童クラブの11年度決算をみましても、保護者の保育料の負担は約全体の25%、国・県の補助金が16%、残り市の一般財源が59%と、6割近くを市がもたなくてはいけない、こういうことでございますので、これらをやはり十分考えて、私どもも検討させていただかないと‥‥。受益者負担の方はなかなかむずかしい、という話が出てきますので、そういうところで十分検討させていただきたい、このように考えているところでございます。
●再々質問(時間の都合でできなかった予定質問)
放課後児童クラブについて、最後に市長におたずねいたします。
保育所や放課後児童クラブの問題を取り上げると、必ず、子どもを育てるのは家庭の責任という声が出ます。そんなことは当たり前です。
しかしながら、子どもたちは親だけのものではなく、次代をになうきわめて社会的な存在であることも、まぎれもない事実です。もちろん、その認識を十分お持ちであるからこそ、放課後児童クラブを公立で運営される決断をなさったことと思います。
古くから春日部に住み近所に親戚があり、ご近所のつきあいも深い方であれば、いざとなったとき助けをかりることも容易でしょう。しかし、よその地から春日部に移り住んできたものにとって、子育てにさまざまな行政の助けが必要であることは事実です。
現在、児童虐待などの問題も大きく取り上げられていますが、家族単位でまとまって、子どもを家庭の中にかかえこんでしまい、すべて親が責任をもたなくてはいけないと思う余り、子育てに自信がもてなくなったり、息苦しくなる、あるいは親子関係がうまくいかなくなる、という例も少なくありません。
公立の保育所では、育児支援の役割を担うようになってきています。それと同じように、放課後児童クラブも、必ずしも留守家庭のお子さんばかりでなく、小学生を地域の中で見守り育てる、その役割を果たす必要が出てくるのではないでしょうか。
東京の場合、地域型の児童館の中に学童クラブがあり、クラブの子と、その地域の友達が一緒に遊ぶ、という光景も見受けられます。
学校教育でも地域の教育力の活用と言われ、地域に開かれた学校が目標になる時代です。
放課後児童クラブに対する市長の見解をお示し下さい。
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