議第6号議案「国の制度として乳幼児医療費無料化制度の実現を求める意見書」に対する反対討論(2001.9.10)
★意見書の内容
わが国において1人の女性が生涯に生む子どもの平均数(合計特殊出生率)は、平成11年度が1.34人、平成12年度が1.35人と低水準で推移するとともに、15歳未満の子どもの総数は20年連続で減少し、平成13年4月時点で1834万人(前年比−24万人)と過去最低を記録し、わが国の少子化傾向に歯止めのかからない状況が続いている。
わが国の将来を考えたときに、この少子化傾向に強力な歯止めを掛ける必要がある。少子化の理由として、様々な理由が指摘されているが、出産費や疾病の費用等、育児における諸費用が大きいことも理由の一つとして挙げられている。文字通り「子どもは社会の宝」であり、安心して子どもを産み、育てられるような環境を一日も早く整備する必要がある。
今日、わが国においては、子どもの育児に対する行政上の様々な支援が行われているものの、それはまだ十分ではない。受診・受療率の高い乳幼児の医療に対する対策が不十分であり、母親たちが安心して育児や治療を行える環境が整備されているとはいえない。乳幼児段階における早期発見・早期治療が子どもの生涯の健康を確保する上においてきわめて重要であり、十分な乳幼児医療体制を構築する必要がある。
その一環として、現在、医療保険の自己負担分を行政が公費で負担するところの乳幼児無料化又は軽減制度が殆どすべての都道府県において実施されているところであるが、対象年齢や助成の程度等、その内容は様々であり、かつ地方の財政難も加わって、安定性を欠いたものとなっている。
よって、政府においては、その費用を国も負担することにより、就学前までの子どもを対象とした「乳幼児医療費無料制度」を早急に実現すべきである。
★反対討論
議席番号18番、片山いく子、議第6号議案に対して反対の立場から、討論いたします。
まず1点。少子化が危惧されて、すでに20年余が経過しております。その間、古いところでは第3子以降に対する児童手当の支給にはじまり、少子化対策が種々行われてきました。しかしながら、一向に少子化の解消につながらないまま、今日に至っております。
このことは、少子化は単に小手先の支援策によって解消できるものではなく、女性が安心して子どもを産み、育てられる社会を構築するための、抜本的な政策が求められていることを示していると考えられます。
第2点、経済が減速傾向にあり、人口減少も予想される今後の社会保障は、必要なところに必要な支援をすることが求められるはずです。経済的に厳しい、低所得者層、高額医療の負担が大きい、長期的医療の負担が大きいなどの支援は十分に行った上で、応分な負担が原則と考えます。
第3点、各種健康保険が危機的状況にあり、また健康保険会計が各自治体の財政を圧迫している今日、乳幼児医療の無料制度を就学前まで拡大することによる負担増が、むしろ、意見書中にある、「子どもの生涯の健康を確保しるための乳幼児医療体制の構築」をむしろ阻むことになりはしないでしょ
うか。
今、求められているのは、ばらまきとも思える、薄く広い施策ではなく、本当に求められているところにきちんと行き着く施策であることを申し述べ、反対の討論といたします。
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