議第7号議案「芸術文化振興を図る法律の制定を求める意見書」に対する質疑(2001.9.10)
★意見書の内容
芸術文化は、自己認識や、伝統を尊重する心を育てるとともに、人々に心の安らぎ、潤いをもたらし、他人への尊敬と愛情の念を抱かせる役割を果たしており、特に青少年の豊かな心を育むものとして、不可欠である。
また、芸術文化の創造活動は、人々の表現や互いのコミュニケーションを高めて、地域における共生意識の醸成に寄与するとともに、豊かな想像力を育むことによって、新産業を生み出す基礎にもなる。
青少年の犯罪や心の荒廃が叫ばれる今日においてこそ、国民が著しく芸術文化に触れ、下記述便か活動に参加することができるような社会全体としての仕組みづくりが求められている。そのような芸術文化の振興に対する政府及び地方自治体の責任は極めて重大であり、法律において明確にする必要がある。
よって、国会および政府においては、芸術文化振興の基本理念や基本方針を定めるとともに、子どもたちが優れた芸術に触れることができる場の提供を図るなど、芸術文化振興策の抜本的充実を図るための「芸術文化振興基本法」を早期に制定するよう強く要望する。
★質疑
議席番号18番、片山いく子、議第7号議案に対して1点だけ質問させていただきます。
芸術文化振興法を早期に制定する要望として、「芸術瓶化振興の基本理念や基本方針を定める」ということが挙げられておりますけれども、芸術・文化とはそもそも、自由な心、もしくは精神の発露、あるいは表現である以上、さまざまな形態や表現方法がみられると思います。その芸術文化の振興の基本理念や基本方針を法によって定めるとなると、芸術文化を振興すべきものと、振興に価しないもの、という選別がなされる懸念がありますけれども、それについてはいかがでしょうか。
★菅原議員の答弁
片山議員の質問に的確に答弁できるかどうか、心許ない部分もあります。芸術・文化ということについて、自分からの発露であったり、自由であったりという発言がありました。そのことが中心で、ここにある基本理念や基本方針を定める、そいうことに抵抗があるようでありますが、今まで国においてそういうことを推進してきた足跡が見えないわけです。やはりきちんとしたルール、基本的な考え方、理念、こういうものがあってこそ、初めて多くの人が参加し、そしてまた、推進、促進がなされるのであろう。
で、ここにあります、基本理念の考え方ということについてちょっとお時間をいただきまして話をさせていただきますが、国の豊かさや人間の資質で図られるとしますと、21世紀の我が国のあるべき姿として文化芸術大国があると考えております。それはものの豊かさから心の豊かさへと、価値観の転換を促す社会であります。一人ひとりの創造的な感性を結集しまして、世界に誇れる日本を築くために必要な、人間の英知を育む社会を、この基本理念として考えております。
また、基本方針としましては、基本的な施策が規定され、国と地方がとるべき、具体的な施策や責務が明確になる、このことがより多くの方々に質の高い文化や芸術を提供できる、このように考えていおります。具体的にはいろいろ申し上げたいことがありますが、これで理解していただけなければ、また、ご質問ください。
★結論は反対
芸術文化の振興によって、「21世紀の我が国のあるべき姿として、ものの豊かさから心の豊かさへと価値観を転換を促す」という理念は賛成できますが、芸術文化振興に対して、「きちんとしたルールをつくる」ということ、また、「一人ひとりの創造的な感性を結集して、世界に誇れる日本を築く」、ということは慎重に考えないと、芸術・文化まで政治や為政者の価値判断で振り分けられる危険がある、と考えて反対しました。
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