2003年3月議会一般質問
支援費制度について
●1回目の質問
本年1月から支援費制度が導入されます。
この制度の目的は、介護保険と同様に、障害をもっている人の介助サービスが「措置」から「契約」へ変わる、ということになっています。
契約をするためには、サービスを必要としている人求めているサービス内容が、必要なだけ整っている、ということが不可欠の条件になるはずです。
支援費制度の介助サービスの供給体制については、厚生労働省の、障害を持っている人が、地域で自立して、24時間、365日暮らすことを支援できる制度になる、上限は設けないという説明がありました。
しかし、各市町村からは、「現行のサービスを後退させない」との説明がなされ、この見解の食い違いが、当初から当事者の間の不安材料になっていました。
つまり、現行の福祉サービスが後退しないていどでは、障害者が地域で自立して暮らすということからはほど遠いのが、現実だからです。
制度導入目前になって、利用時間に上限を定めるという方向が厚生労働省から示されました。これは、マスコミ報道でご存知のように、障害当事者・団体・介助者等の激しい抗議運動と、粘り強い交渉の結果、撤回されました。
しかし、依然として事業者である地方自治体に対する補助金の基準を設定しているため、総枠で利用時間の限度が生じることになりました。
そこで第1点、ホームヘルプサービスについてうかがいます。
厚生労働省の示す補助金の基準は、現在よりは多少拡大されることが予測されますが、本来必要としている支給量から見ると、まだまだ不足すると考えられます。
これについて、市に対して示される補助金の枠の中で、個々の障害者に対して、どのようにサービス支給量を決定していくのか、その基準についてお示しください。
2点目です。支援費の大きな目的の一つに、ノーマライゼーションの達成ということがあげられています。ノーマライゼーションの達成と言うことになると、サービスの量もさることながら、サービス内容も大きく関わってきます。
しかし、支援費の外出介助では、働きに行ったり、趣味で出かけたりするための社会参加に対する外出介助は、認められていません。
また、サービスの供給量が仮に全対象者が平均して使うとしたら充分であったとしても、障害をもっていても、持っていなくても、1日の生活リズムがそれほど大きく変わらないはずです。
調理、食事介助、入浴介助、送迎など、一定の時間にサービス利用が重なってしまう懸念があります。
また、障害者の場合は、男性の障害者は男性の介助者、というように、同性介助が原則になります。この場合、入浴、排泄、泊まりなどの男性のヘルパーさんがどのくらい確保できるのかも心配な点です。
このような具体的なサービス供給体制についての見通しを、どのように立てていらっしゃるかについて、お尋ねします。
●伊野瀬健康福祉部長の答弁
身体、または知的障害者の方の支援費制度におけるホームヘルプサービスの支給量の決定に関わる基準についてでございますけれども、先日、厚生労働省が支給に関する上限を設けました。
これは市におけるホームヘルプサービスの利用者の人数に、一般の障害者については25時間、視覚障害者につきましては50時間、全身性障害者には125時間の、対象者別に示された一定の時間数を乗じて算出した金額を基準にするもので、個々の障害者の支給量に上限を設けるものではない、ということです。
なお、設定時間数の基準としては、平成13年度の全国平均の利用時間、これは一人月平均ですけれども、その1.5倍になっているとのことです。
全身性障害者のように重度の方には支給量をより多く設定しなければなりませんが、国の補助金の基準を考慮すると、支給量にある程度の制限が出ることもやむをえないと考えております。
市としては、ホームヘルプサービスを希望する個々の障害者に対する聞き取りの段階で、家族構成、生活パターン、希望するサービス内容及び支給量等を聞き取り、これらの事項を勘案しながら、希望する支給量の比較的少ない方と、多くの支給量を必要とする方のバランスを考えて、国の補助金の枠の中で検討した上で、支給量を決定していきたいと考えております。
ケースによっては、より詳しく聞き取りをすることも考えております。
ホームヘルプサービスの支給量につきましては、当市の現行の制度よりは多くなる見通しです。
また施行後におきましても、個々のいろいろな事情等を勘案しまして、支給量の変更等の制度もあります。
次に、ホームヘルプサービスの供給体制につきましては、ご質問の中にありましたように、入浴、排泄、泊りなどの介助に関わる同性介助の問題、また、昼食・夕食などの調理など、同じ時間帯にヘルパーの利用が集中した場合のヘルパーの確保の問題があり、車椅子への移乗や入浴時の抱き上げなど、同時に二人以上の介助者が必要となる場合もあるわけです。
さらに年末・年始、そのほかゴールデンウィーク等々、連休中の供給体制も課題になるのかと思っております。
いずれにしてもヘルパーの確保が問題になってくるので
はないかと思っております。
本市では、障害者のホームヘルプサービスを現在は福祉公社に委託しております。参考までに、公社に登録している男性ヘルパーは今のところ4人ですが、4月からは6人になる予定と聞いております。
しかし男性の多くは家族の生活を主として支えるために定職に着くという事情があり、時給制によるヘルパーに登録するという男性は少ないというのが現状です。支援費制度においては,民間の事業者が参入できるようになっておりますが、その事業者申請の状況はまだかなり少ないとのことです。
ヘルパーの供給体制につきましては、公社においてはヘルパーの養成や募集に努力しておりますが、市としても今後は県と連携をとりながら、民間事業者や団体などへの働きかけを検討し、ヘルパーの供給体制の向上に努め、障害者計画に掲げました、在宅サービスの促進に向けて、今後、一層努力していくつもりです。
●2回目の質問
第1点のホームヘルプサービスの支給量についてはどういう体制で進めていくのか伺いました。そして現行の春日部市のホームヘルプサービスの量より上回る予定という答弁も頂きましたし、またそれぞれの申請者に対する支給量の決定にあたっては、それぞれの人達の生活実態に合わせて必要な聞き取り調査を行って慎重に検討するというふうに解釈させていただきました。
また決定後であっても事情が変化した時には再度検討するということですから、是非きめ細かい対応をお願いしたいと思います。
二点目として、外出介助とノーマライゼーションについて、それを支援する体制になるかどうかについてお伺いしたのですけれども、その点少し答弁がなかったので伺いたいのですが、今回の支援費制度の導入に際しまして、春日部市では「全身性介護人派遣制度」を支援費に以降させることなく一単独の事業として残すと言う英断をくだされました。これについては大いに評価したいとお思っております。
この全身性介護人派遣事業は、介助を必要とする障害者が、介助してほしい介助者を指定し、セットで市に登録できるというものです。
また、単なるガイドヘルプに限らず、今まで障害者が社会参加のために介助者を求める上で、とても使いやすい制度でした。
つまり、障害を持っている人が外出しようとすると、単なるガイドヘルプのみではなく、着換替えにはじまり、車椅子に乗せる、外出先での食事などの介助、トイレの介助と、その介助内容はさまざまです。このような介助が一対一で行える全身性介護人派遣の制度は、支援費制度とちがい、障害者の日常生活、特に社会参加を支える上で、欠かせないものとなっています。
またもう一つ,制度の隙間を埋める制度として、障害児・者生活サポート事業、いわゆるレスパイト事業があります。
これも、養護学校の送迎、日常介助に当たっている人が介助できなくなった場合の緊急預かりなど、行政の福祉サービスでは対応できない,きめ細かい対応のできるものとして、実施以来、大幅に利用が伸びているものです。
これに関しても、春日部市は15年度予算で、県の補助金の上減額にとらわれない予算編成をしたことは、評価に値するものと思っております。
この全身性介護人派遣事業、レスパイト事業だけでなく、従来まで市の福祉施策ではまかなえない隙間を埋めるものとして、地域の中での支え合いのシステムが生まれてきました。
その隙間を埋める介助の手がなければ、障害を持っている方の生活が成り立たないし、社会参加もできないのが実情です。
障害を持っている人達が地域で自立して生きるということは、障害を持っていない人と同じように学校に行ったり、仕事に出掛けたり、趣味を楽しんだり、そういう生活を出来るということで、それが障害を持っていない人達との違いは介助の手を借りて行うことが出来るという点だけのはずです。そのように日常を過ごしている障害を持っている方々がたくさんいらっしゃいます。 それは、何度も繰り返しになりますけれども、その生活が成り立っているのは行政の福祉サービスでは不充分ですけれども、それに加えてみんなが地域の中で支え合いのシステムを作って地域の中で一緒に暮らせるものを作り上げてきた、そこに本来、障害を持っている方たちが真に求めている介助が存在しているということを忘れていただきたくないと思います。
先ほど、サービス供給体制に対して申し上げましたけれども、サービスの供給体制は不足するものと思われます。
しかしながら、支援費制度の実施にあたって、なぜ地域のボランティア団体やそれまで介助を支えてきたシステムの人達が事業所として登録しないのか、という疑問がおこるとおもいます。
それは、事業所として登録してしまうと、支援費制度の枠の中での介助しか提供できなくなってしまうのではないかという懸念があるからです。
事業所に対しては基準を満たしていなくてもサービスを提供できる基準外認定がありますけれども、またホームヘルパーに関し
ても、資格を持っていなくても経験を加味した見なし認定が認められております。
しかし、そういうものがあっても、まだ当事者で積み上げてきたシステムが支援費制度という制度にからめとられてしまって、障害を持っている人達の社会参加が保証できなくなってしまったら、という不安がぬぐえないのです。
春日部市では「全身性介護人派遣事業」を一年間残すにあたって、支援費制度が始まってから実際にどうなるのかをみながら、来年度以降の判断材料にしたいというふうなことを言っております。
是非、障害当事者と一緒に話しあいながら、支援費制度それを補う、市の福祉施策そういうものを組み合わせながら、本当にノーマライゼーションを実現できるシステムを作るために前向きな検討をしていただきたいというように思います。
最後に市長にお伺いいたします。そういうノーマライゼイションを実現するためには、まず支援費制度を導入するにあたりまして、ケアマネージメントの体制が必要であるというふうに考えられます。
支援費制度からこのケアマネージメントが消えたことは大きな後退であったのではないかというふうに思っております。
このケアマネージメント体制を整えるためにも生活支援センターの早期の設置が望まれるところですけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。
今まで申してきましたように今回の支援費制度は当事者がサービスを選択できるということについても、そして支援費の大きな目標でありますノーマライゼイションの達成ということについても、まだまだ障害を持っている方本人、そして介助に当たっている人たちが求めるものとの隔たりは大きなものがあります。
春日部市では障害を持っている人たちと一緒に障害者基本計画を策定してきました。
また現在県も同じように新障害者プランを策定しています。
この計画の実施計画を策定する際に現在不充分な支援費制度、これを育てていくために、私はぜひ春日部市が誇れる、春日部モデルというような施索をこの実施計画の中に盛りこんでいただきたいというふうに切に願っているのですけれど、どのような施索を進めて行くお考えでしょうか、それについてお示しください。
●三枝市長の答弁
支援費制度とそれを補う市の福祉施策についてでございますけれども、現在県では「彩のくに新障害者プラン」を策定中でございます。
当市の春日部市障害者計画これを平成14年3月に策定をいたしました。そして、現在本年4月からスタートする支援費制度の準備を今進めております
が、当市では全身性障害者介護人派遣事業の主旨に基づきまして、現行制度の介助を必要とする障害者が介助者を指定し、お互いにすぐに登録するということできめ細かな介護が可能になるという特色をいかすために、また支援費制度での介護人は介護を必要とする障害者が契約する事業所に所属する派遣の介護人、ホームヘルパーが行うことになるため、支援費制度の導入による迷いを緩和すると共に、よりスムーズな移行ができるように平成15年度につきましては、全身性障害者介護人派遣事業の継続を判断をしたものでございます。
今後におきましても県の指導を仰ぎながら、本年策定される県の「彩のくに新障害者プラン」と市の障害者計画の整合性を確認すると共に実施計画の策定を進めていきたいと考えております。
また、障害者計画策定時にも懇話会の委員の方々をはじめ、障害当事者と多くの関係者の皆さんにご協力をいただきました。今後におきましても多くの皆様からのご意見等をいただきながら、また話しあいの場を持ちながら障害者施策の構築をより良い構築を推進してまいりたいというように考えておるところでございます。
障害者対策の中でケアマネジメントの体制をということでございますけれど、春日部市の中では平成14年3月に多くの障害当事者や市民の協力を得ながら、春日部市の障害者計画を策定いたしました。そして、計画の協議念と致しまして、障害のある人もない人も共に生きる社会を目指してのノーマライゼイションの推進と定めてございます。
そして協議に基づきまして3つの基本方針、そして6つの基本目標を定めております。
基本目標のひとつに障害のある人とその家族の生活を支えるサービスの充実を掲げておるところでございます。
障害者計画の推進に向けてのもっとも最優先の課題の課題といたしまして、そのひとつと致しまして、障害者ケアマネージメントの体制の整備、いわば生活支援センターの整備の必要性を示しているところでございます。
この支援費制度にございましては、障害者の申請に基づきまして市が障害者の程度区分、支給量、支給時間を障害のある人ごとに決定をします。また、この制度では障害者が入所施設などの社会資源やホームヘルプサービスなどの制度を利用する場合自分で選択し、契約しなければなりません。このような場面で障害者のさまざまばな相談にのり、的確なアドバイス、コーディネートを行うためにも障害者に対するところのケアマネジメント体制の整備が必要であるというように考えておるところでございます。今までは措置というようなことで、だいたいが公が指導的な立場にたって体制というものを確立してきたけれど、今度は支援、いわゆる契約制になってくるということになると、ある意味では当該者の人権尊重というようなこともつながってはくると思いますけれど、しかし、措置の良さ、支援の良さがありまして、そこにやはり隙間もでてくるものでございます。
今申し上げましたように、ですから支援、本人契約、申請者契約というようなことになってきたときに、果たして自分たちの障害についてどのような計画を作っていくかとか、あるいは自分がどのような支給量が考えられるかというとなかなかわからん、これをきちっとコーディネートするところ、それがわたしは必要だというように思っておりますので、このケアマネージメント体制の整備というものにつきましては、確立していかなくちゃならないだろうというように思っております。
今は障害者福祉計画を作らせていただいたところでございますけれど、本年度これの実施計画を作らせていただきます。この実施計画の中に支援センターを位置付けしたいというように考えておるところでございます。
●3回目の質問
ちょっと気になりますのは、やっぱり答弁の中で全身性介護人派遣制度を一年残したのは、支援費制度のよりスムーズな移行ができるようなご答弁であり、一年後には県の指導を仰ぎながら決定するというようなと答弁があったかと思いますけれど、支援費制度は介護保険と同様、実施主体は市町村となるわけなんですね。
ですから私、先ほど春日部モデルといいましたけれど、国や県がということではナシに、春日部は今、障害者基本計画にのっとった実施計画を本年度一年かけて進めて行くというお話です。 春日部の中に今まで暮らしてきた障害者の方がた、そしてその障害を持ってる人の暮らしを支えてきた介助してる人達がいらっしゃいます。
ですから、国や県ということよりまず先に、地域に暮らしてきた人たちの声を聞きながら春日部が事業主体となる、主体者としての主体性をきちんと示したシステムを作っていただきたいというように思います。
さきほど、ホームヘルプサービスの所で、ちょっと私の勘違いだったら申し訳ないのですけれど、一般障害者は25時間、視覚障害の方は50時間、全身性125時間というホームヘルプサービスの量なんですが、あれはあくまでも基準であって、それ掛ける人数というのが上限というふうに捕らえられると、ちょっとニュアンス違ってくるかと思いますので、あくまでも基準ということになっているはずなんですけれど、この点上限でない、ということであれば答弁はけっこうです。
最後に私、今回は任期の質問に最後にあたりますので、市長に
お伺いしたいと思います。
私はこの場で、当事者の皆さんの声をきちんと聞きながら、いつも答弁の中に聞きながら進めるというお話はありますけれど、それを決定の段階まで反映させて欲しいというように申し上げてまいりました。
先ほども申し上げましたけれど、財政が厳しい、だからその限られた財源をどのように使っていくかということが、今一番大事になってきているか、という時代だと思うのですね。
ですから、その貴重な財源を使うからこそ、それを求めている当事者の皆さんが必要なところに使うのが私は生きた税金の使い方じゃないかと思っている。市民の皆さんの声にもいろいろあるというように、よく市長おっしゃいますけれど、いろいろある声を集めて行くと、私は一筋の同じような方向の流れに向かって行くのではないかというように思うんですね。
ですから、ただ声を聞きおくだけではなしに、第4次総合振興計画の中で、市民の皆さんとの共働というものを柱として議長は掲げていらっしゃいますので、その柱をきちんと守りながらこれから市政を進めていっていただきたいと思うのですけれども、その点に関して市長に答弁いただきたいと思います。
●伊野瀬健康福祉部長の答弁
全身性障害者介護人派遣事業の継続の件でございますけれども、この4月から新制度に移行されたということでございまして、当初からこういった事業を支援制度に切り替えていくということではなくて、継続性を持って判断をしたいということでございますので、今後につきましても、先ほど申し上げましたが、関係機関またみなさんのご意見ともうかがいながら、今後継続をどうしていくのかということについては充分私どものほうも協議を進めていきたいというふうに思っております。
それから、先ほどの時間の関係でございますけれども、25時間、50時間、125時間の基準ではないということですけれども、これはですね、あくまでも基準でありまして、上限ではなく、基準ということでございますので、ご理解の程お願い致します。
●三枝市長の答弁
市民と行政の共働の社会、これはこの21世紀の大きな課題というように考えていて、春日部市の行政についてもお互いに共同の中で1つの春日部の街が確立されていかなければならないだろうというように思っております。
この共働の社会作りには、私どもも今一生懸命努力していきたいというふうにおもっております。
その中で、先ほど話がございましたけれども、そういう関係団体、あるいは一般の市民の人達、かならずしも意見が1つにまとまらないと。
ところが、論議をしているうちに、1つの方向付けができるのだろうというようなご質問がございましたけれども、そうなれば私どももそれにこしたことはないというように思っておりますけれども、そこだけが共働の社会作りの中の難しいところではないかというように思っております。
やはり、その中で1つの最大公約数を選び、かつ、またですね、行政としての立場としての主体性も確立していかなくてはならない、そういうようなことを両用あいまった形の中でこれからの行政を進めていかなくてはならないけれど、原則として基本としてですね、共働の社会というものを作るために、春日部市の行政も1つそういう方向作りの中で努力はしていきたいというように思っております。
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