★一般質問・その3
<市町村合併について>
●1回目の質問
この問題に関しては、大きく分けて、二つの点について、お尋ねしたいと思います。
まずはじめに、「新市建設計画」について、です。
去る12月8日の第11回合併協議会で「新市まちづくり構想」が示されました。この「まちづくり構想」は、今後まとめられる「新市建設計画」の基本となるもの、とのことです。
これを一読しましたけれども、どうしても、なぜ、合併するのか、という合併の根拠、もしくは必然性が見えてこない、というのが率直な実感です。
たとえば、どの項目を開いても似たりよったりなのですけれども、住民意向調査でも充実させてほしい項目のトップにあがっている、「保健・医療・福祉」の分野のうち、高齢者福祉では、課題として「在宅高齢者の援助組織、基盤が少ない」という点が挙げられています。それに対して、合併後の主な施策にあがっているのは、
・高齢者住宅(安心ハウス)の整備促進
・高齢者福祉施設の整備とサービス内容の拡充
等々、従来も高齢者保健福祉計画に盛り込まれていたものであり、合併したからいっそう充実する、という根拠がどこからも感じられません。
総花的に、全分野を網羅し、無理に作文を連ねるより、むしろ、少なくとも、このような問題点を現在の自治体の規模や広域行政、その中では困難性があって解決できない。しかし、合併後には、このような方向での施策が可能になる、という道筋が示されなければ、合併の効果について判断するのがむずかしいのではないでしょうか。
3月までにまとめられる「新市建設計画」は、このような観点から、市民の皆さんの検討材料となる、具体的に合併の是非を考える資料となりうるものにしていただきたいと思います。
同じく、「新市建設計画」に示される「主要指標の見通し」について伺いたいと思います。
たとえば、新市の将来人口が増加する見通しとなっています。しかし、日本の将来人口は、2006年をピークに、その後は減少するというふうに予想されています。
また、過去の例では、合併した新しい市は人口の緩やかな増加傾向が見られる、とされていますけれども、今後、全国で市町村合併が進んだとしたら、そのように合併による増加傾向がみられるかどうか、果たして疑問です。
つまり、このような施策とした結果、住みやすい街になって、人口が増加する、という説得力をもったものではないと思われます。
この「新市建設計画」を分析するにあたって、県内の他の合併協議会の「新市建設計画」がどのようになっているのか、比較検討しようと思いましたが、残念ながら、まだ、多くの合併協議会では、公表できる段階になっていないとのことでした。
ただ、とても興味深く思ったのは、「深谷市・岡部町・川本町・花園町・寄居町、この1市4町の協議会がまとめた「新市将来構想」です。
この中で、たとえば人口の見通しについて、先に春日部のものは非常に漠然としたものだと申しあげましたけれども、ここの協議会の人口の見通しですけれども、ここでは、平成12年の184、286人から、平成27年には200、000人、平成32年には202、000人になるものと予測される。というふうに示されていますけれども、この予測が将来動向をさぐるコーホート要因法によっている旨の説明をしたのち、さらに「景気の動向や土地区画整理事業の推進、あるいは市街化調整区域の見直しなどによっては、予測値から増減する可能性があること」ということをきちんと示しています。
この合併協議会は、聴くところによると一切、コンサルタント会社に業務委託していないと聞いております。そのせいか、将来構想の至るところで、きめ細かく、1市4町の現状と照らして説明されている、というのが印象的です。
例えば、都市基盤整備の項目をみますと、将来、石油資源が枯渇するかも知れない、そういう時代の到来、あるいは地球温暖化防止の対策が必要だ、そういう点も視野にいれて、たとえば都市基盤に関しては、「パーク・アンド・ライド」や「サイクル・アンド・ライド」あるいは「レンタル・サイクル」を活用するなど、そういう構想もきちんと示されております。
つまり、将来見通しというものを、非常に現実的なものとしてとらえながら、新しいまちづくりというものを、皆さんで協働して考えていく、その協議の積み重ねがきちんと分かる、「まちづくり計画」になっています。
こういう、作文ではない、現実的な見通しをこそ、示す必要があると考えますが、その点についてはいかがでしょうか。
「新市建設計画」については、その点についてお伺いしたいと思います。
もう一つ、合併協議について、お伺いしたいと思います。
前回の合併協議会では、合併後のまちづくりを検討する「地域審議会」についての議論がありました。この「地域」について、あくまでも対等合併であるから、1市3町、それぞれ1つの地域として考える、
春日部市は一つの地域として考える、という方針となっています。
春日部市では、従来6つの地区に分けてまちづくりを考えてきたはずです。ところが、1市3町、対等合併ということで、「新市建設計画」の案をみても、春日部市を1つの地区としてとらえた結果、そこに盛り込まれているのは、春日部駅周辺の中心市街地の整備のみに重点が置かれている、そういう印象が否めまないのです。
人口規模を見たとき、これではバランスに掛けるのではないでしょうか。この「新市建設計画」をみたときに、中心市街地以外の春日部の各地区では街まちづくりは後回しにされるのではないか、という懸念が生じています。「住民が主役のまちづくりをすすめる」とうたっていながら、このままでは住民不在になってしまいかねない、この「地域審議会」について、再考の余地はないのでしょうか。
合併について、最後の問題です。それは合併協議会のありかたについて、です。
合併協議会は、この合併協議の中で重要なポジションを占めています。つまり合併協議会の決定そのものが、合併公約となり、その公約をもとに、住民が合併の是非を判断することになるからです。
今までずっと協議会を傍聴して参りましたけれども、どうしてももっと掘り下げた議論をしてほしい、と思うことが多いのです。時間的な制約があるのは分かりますけれども、協議会は大事な機関であるからこそ、たとえば「新市名称」などについてもアイディア募集で集まった候補名称について、新市の在り方、どういうまちづくりをめざすのか、そういう在り方と重ね合わせて、どういう選択をするべきなのか、それを委員のみなさん同士で議論する、そういう議論を戦わせる機会をもっと充実させるべきではないかと思います。
国民健康保険税の問題もそうでした。「新市まちづくり構想」の中、「国民健康保険税の適正化が望まれる」という問題的が指摘されていながら、せっかく国民健康保険制度に対する議論が起ころうとしたところで、まとめられ、議論が深まることがありませんでした。
そういう議論の在り方をみていると、32万都市全体の将来像を念頭に置いた、もっと掘り下げた議論をする場となるために、工夫の余地はないものでしょうか。
少なくとも、合併に関して起こる、大きな変換点に関する議論に集中しを進行する、そういう工夫をして頂きたいように思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
●米山合併推進調整担当参事の答弁
まず、「新市建設計画」が、市民の合併の是非を考える資料になることについてでございます。
「新市建設計画」は合併協議会第8回会議、10月20日に行われましたが、その会議で素案が示され、全体構成について承認されたところでございます。
この計画は、新市のまちづくりのマスタープランとして、構成市町の総合計画等を踏まえ、新市の建設を総合的、かつ効果的に推進していくための方針を定め、各種事業を実施していくことにより、新市の速やかな一体化を促進し、住民福祉の向上と、新市の均衡ある発展を図ることを目指すものでございます。
計画は、新市を建設していくための基本方針、また、基本方針を実現していくための主要事業、公共施設の適正配置及び財政計画を中心として構成されておりまして、このうち、基本方針や主要事業については、「新市まちづくり住民会議」がとりまとめた「新市まちづくり構想」を踏まえ、住民の視点にたった施策・事業を盛り込んだものとなる予定でございます。
計画の内容につきましては、今後さらに、表記等につきましても、具体的に、よりわかりやすくするなどの修正を加えまして、合併協議会に提案してまいりたいと思っております。
今のスケジュールでは、「新市建設計画」は3月8日の会議で承認・決定される予定でございます。これからの会議で協議を経て、よりよい計画に練り上げていくものと考えております。
次に、新市の将来人口の予測についてでございます。人口推計にあたりましては、人口推計の手法で一般的でございます、「コーホート変化法」による推計値に、各市町が進めている区画整理事業等、いわゆる政策人口の増加見込みを加算しまして、推計を行ったものでございます。
将来人口予測につきましては、まだ、現段階で最終予測ではございませんが、新市誕生後、10年の平成26年には、約33万7千人と予測しており、平成15年度との比較では、3%ていど増加するものと見込んでいるものでございます。
これは、国立社会保証人口問題研究所が出した、都道府県別将来推計人口、平成15年の3月でございますけれども、に基づく、埼玉県の人口の伸び率104%を若干下回るものであります。まあ、概ね妥当な数字と考えているところでございます。
続きまして、住民主役の観点から、「地域審議会」の再考の余地につきまして、答弁申し上げます。
合併による一般的なデメリットとしまして、市域が拡大することにより、住民の声が届きにくくなる、中心部だけがよくなって、周辺部が取り残されるのではないか、などの住民の不安要素が指摘されているところでございます。
このため、平成11年の合併特例法の改正によりまして、新市の施策に関しまして、住民の意見を反映していくことができるよう、「地域審議会」の設置が規定されているところでございます。
この「地域審議会」につきましては、合併協議会第11回会議、12月8日におきまして、春日部市・宮代町・杉戸町及び庄和町の区域ごとに、「地域審議会」を設置することが承認されたところです。
その役割などにつきましては、地域の事情に応じて決定されるものでございますが、本地域の場合、「地域審議会」の一般的役割とされている、「新市建設計画」の変更の審議等のほかに、構成新町の区域ごとに、地域特性に応じた独自まちづくりをすすめるための、仮称「地域振興費」を設け、その使途や実施状況、実績等について審議することなど、独自の特徴を有した組織となる予定でございます。
合併後において、新市全体が発展していくためには、住民と行政が協働してまちづくりを推進していくことが必要と考えておりまして、「地域審議会」が機能することにより、「新市まちづくり構想」でうらわれた「住民主役」を実現することにつながるものと考えているところでございます。
最後に、合併協議の進め方について、でございます。
合併協議会での協議につきましては、限られた会議時間中で、さまざまな協議を行っているところでございます。
協議項目によっては、委員が協議内容を十分に把握したいとのことから、内容の細部について事務局との質疑応答となる場面もございます。協議に次官がかかる場合もございました。
第9回会議からは、協議案件が多くなってきたため、十分な協議時間が確保できるよう、事務局が協議内容について、あらかじめ委員により質問を受け、回答を送付することで、会議での協議時間を増やすことに努めており、これにより、十分な協議が進められていると考えているところでございます。
今後、新市建設計画の内容につきまして、詳細な議論が行われる予定でございます。3月8日の会議での承認決定に向けて、十分な協議が行われることと思いますが、その中で、32万都市の在り方を念頭においた、総合的な議論が行われるものと期待しているところでございます。
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