★一般質問・その2
<旧谷中小学校の跡地問題について>
●1回目の質問
旧谷中小学校跡地の問題についてお伺いいたします。
この件につきましては、先日市長が「三分の二の売却が決定し」と述べておられましたが、私が確認したところによりますと、「売却手法、売却先を含めて調査検討する」という方向が定められたとのことです。
そこでお伺いいたします。この売却先、売却手法の検討、どのような方々が行うのでしょうか。検討する段階では、どのように住民の方々の意向は反映されるのでしょうか。
また売却先には、どのようなところが上げられるのでしょうか。民間業者に限らず、NPOのような団体は含まれるのでしょうか。
以上、第1回目は、その点について、お伺いいたします。
●江川政策部長の答弁
業務核都市推進調査につきましては、業務核都市の育成の視点にたった旧谷中小学校・旧沼端小学校の跡地利用の誘導や、各種機能の導入を図るものです。
春日部市は、議員もご案内の通り、平成11年3月の第5次首都圏整備計画において、業務核都市として位置付けられ、埼玉県が作成する業務核都市基本構想の業務施設集積地区の候補地として、武里団地周辺が位置付けられております。
こうしたことから、旧谷中小学校跡地の三分の二の売却地については、可能な限り、事業者に、業務核都市の要素を取り入れた土地利用をしていただくため、事業提案型の競争入札をしてまいりたいと考えております。
このための具体的な作業を行なうものでございます。
公募に関る作業といたしましては、事業者募集要項、及び計画提案書記載要綱の策定、また、事業者の選定に関る作業といたしましては、選考の基本的な考え方を整理するとともに、審査方法・審査基準などを作成するものです。
さらに、事業者が決定したあとに結びます、協定書案を策定いたします。
これらの作業を行なうにあたりましては、学識経験者や地元代表者からなる選考委員会を設立して、まいりたいと考えております。
また、旧沼端小学校につきましては、施設・跡地ともに再利用することを前提に検討することとし、全国の学校施設利用の先進事例の収集や、周辺の公共施設の立地などを整理するとともに、施設利用の基本的な考え方を検討するものでございます。
で、今後のスケジュールとしましては、夏に提案募集を行い、秋には事業者を決定して参りたいと考えておりますので、募集要項や審査基準につきましては、6月議会、事業者の応募状況等につきましては9月議会の総務委員会等で議員の皆様にはご報告させていただきいたあと、事業者との契約を行ないたいと考えております。
また、事業の透明性を確保し、市民への周知を行なうため、要綱や基準、応募状況、提案内容、事業者等につきましては、ホームページ上で公表して参りたいと考えております。
それから、次に谷中小学校跡地の売却につきましては、業務核都市育成の視点に立ち、可能な限り、その育成整備に資する要素を取り入れた土地利用をしていただくことにより、地域の発展に寄与していただきたいと考えております。
こうしたことから、売却にあたりまして派、事業提案型の競争入札を行なって参りたいと考えております。
このため、応募する事業者は、事業の採算性を織り込んだプランニングを行い、各社独自の内容で提案応募して参りますので、事業計画にストレートに市民意見を反映することは大変むずかしいかと思いますが、委員会を設置し、地元の要望をできるだけ取り入れて参りたいと考えております。
●2回目の質問
先ほど、これから事業提案型の競争入札するために募集をかけていく、ということをお伺いいたしました。
で、選考委員会には、学識経験者や地元代表の方も含めて、そこで住民の皆様の意見を反映したいというふうにお聞きしました。
で、私は9月議会、12月議会、2度にわたって、「売却しないでほしい」という住民の皆さんの要望、あるいは校舎を取り壊さないで取り壊さない部分の売却でも、市に残るのは4億2千万、4億3千万と大体似たような金額だから、活用できる校舎はそのまま残してほしい、という市民の皆さんの声もあるんだけれども、それに対してはどうか、という観点で質問させていただきました。
それに対して、もう売却は決まったことだ、というような雰囲気が強いと思うんですけれども、繰り返しになりますけれども、谷中小学校の近辺の方々、売却やむなし、というふうに認めた、というのは、一部売却ということを聞いていたと、それが、示されたときには、三分の二だったと。それから、校舎を取り壊すのに2億2千万余りかかると、しかもいろいろ経費を引くと、跡地を三分の二売却しても、4億3千万円しか残らない、そういうところからいろいろと、また、地元の方々から、本当に売却が必要なの? 売却しないでほしいよね、校舎を有効活用させてほしいよね、という声があがってきたところから、私は二度、質問させていただいきました。
で、また、校舎建設時だけでなく、その後もこの谷中小学校は、大雨の際の雨水対策として、平成5年度ですけれども、校庭の遊水池工事をしていますよね。これ2、400万円をかけて工事をしております。またそれ以前には、防火水槽が650万円かけて埋設されています。これは団地も控えている、ということだと思うんですけれども。谷中小学校というのは、そういう地域防災の拠点としての役割も担ってきたわけですよね。
で、もし、谷中小学校を売却してしまうとしたら、この防災拠点としての役割というのは、一体どこが担うことになるのでしょう。これに関して、今まで市が3千万余り投資して、防災拠点としての役割を担ってきた、これに関してはどうなるのでしょうか。
また、平成10年には、1,300万円かけて、一棟だけですけれども外壁工事も行われてますよね。
こういうふうにお金をかけて、地域の防災拠点としてきた、このように谷中小学校は、これは谷中小学校だけではないんですけれども、すべての公共施設というのは、市役所の財産ではなく、市民の皆さん共有の財産という認識は、もちろん十分お持ちだ、というふうには思います。
そしてこの谷中小学校、隣に6、124世帯、1万3,600人余りの人口を抱える武里団地に隣接している、という特殊性がありますよね。
ですから私は、この谷中小学校跡地を地域コミュニティの核にしてほしい、というふうに申し上げてきました。今議会でも、様々な議員の方から、世代間交流、高齢者の介護予防、地域コミュニティの醸成、そういうような質問が相次いでおります。
もし、このような目的であの谷中小学校の跡地を有効活用を図ることができれば、長い目でみるなら、それは4億円以上の効果が生まれるというふうに考えることはできないでしょうか。
先ほど市長も、今ある施設を十分に有効活用したい、というようなこともおっしゃっていました。
たとえば団地にはリタイアした元気な高齢者がたくさんいらっしゃいます。その方々が、それまでのキャリアを生かし、この谷中小学校を拠点として様々な地域活動を展開することができると思うんですね。常々市長がおっしゃっている「市民との共働」、そういうことの第1歩が実現する。それによって、行財政改革の一助になるかもしれません。
また、子育てを終えた方々が、ここを拠点として、高齢者のさまざまな生活支援のボランティア活動をしたり、さきほど五十嵐議員の方からは、身体面のパワーアップということで、要介護1とか要支援の状態の人たちが、また自立になっていく施策もあるのではないか、というお話もありましたけれども、まだ要介護度の低い方、あるいは自立しているけれどもちょっと一人では、というような高齢者の方々が気軽に集うスペースができたり、あるいはそこでいろいろ生活支援できるボランティアの拠点、そういう事業を展開することによって、介護保険の、要介護状態になることの予防につながるということは、それは先ほど、3年間で2,1倍に、要支援と要介護1の介護給付が増えた、ということですけれども、そういうことの節減になる、というふうにも考えられると思うんです。
で、私が12月議会で質問した後から、たとえば、「ものつくり」を中心とする、中小企業の経営者の方々が集まって、今NPOの設立申請しております。この人たちから、是非この跡地で起業支援やものつくりの技術の伝承、そういうことに活用できないだろうか、という相談も寄せられています。もしここで新たなそういった事業展開ができるとすれば、それが成功していけば、新たな市税の増収にもつながってくるというふうに考えられると思うんです。
このようにいろんな事業展開をすることによって、今売却して4億円というお金を得ることと、どちらが得なのか、ということを考えることも必要なのではないかと思っています。
一方、教育関係の団体からは、不登校のお子さんや親ごさんの集える場、あるいは中学生、高校生の学校外の活動の支援、あるいは乳幼児を抱えた若い世代の子育て支援などを事業とするNPOを立ち上げたい、というようなことも聞いております。このNPOの方々からも、この谷中小学校跡地を活動拠点にできないだろうか、という相談も寄せられています。
このようなNPOというのは、本来、市が取り組まなければいけない行政課題を、市民の側から積極的にやっていこう、その部分を引き受けよう、ということでNPOを立ち上げよう、そういう気運が、この谷中小学校跡地を中心にして、今、具体的になってきているという事実があります。
さきほど村松議員かありました障害者生活支援センター、就労支援センターというものも、本当に障害者プランの中で、最重要課題としながら、まだできないという現実があると思うんですね。そういう市が取りくまなければならない課題の中から、この谷中小学校跡地を使って出来るものはないか、そういう検討を今一度していただきたい、というように思っております。
それで、政府は現在、「地域再生プロジェクト」を検討しています。この構想、私もちょっと調べてみましたけれども、今、市民からわき起こっている、「跡地をこういうふうに使いたい」という思いと本当に一致していると思うんですね。
地域再生プロジェクト、もうご存知だと思うんですけれども、こういう市民団体の弱点というのは、資金をもっていないという点なんですね。ですから、本当は資金を持っていれば、先ほど売却先としていろいろ挙げられた中で、NPOも、じゃ私たちが4億出すから、こういう事業をやりたいんだ、ということを提示できれば、それはことは簡単なんですけれども、資金を持っていません。本当に市民の集まりですから。しかし、ただ今総務省が検討しているとされる「コミュニティファンド」、こういうものの活用も考えられるのではないでしょうか。
このコミュニティファンドの設立にあたっては、市も一定の資金を出さなくてはいけないというふうに聞いておりますけれども、このコミュニティファンドを活用することによって、資金の捻出というのも不可能ではないと思うんですね。
また、これは廃校の利用ではないんですけれども、私は12月議会で「廃校リニューアル」という文部科学省のすすめてきたものの例を挙げてきたんですけれども、これは15年度で終わってしまうということなんですけれども、廃校ではありませんが、文部科学省は、全国の4000校を対象に、土日の「子どもの居場所づくり」を進めるとしています。
この「居場所づくり」という構想も、市民の皆さんから上がっている活動内容とぴったり符合している。そういう居場所づくり、実際に現在子どもたちが通っている学校で、土日を利用して学校を開放するというのは、運営面でいろいろむずかしい点があるでしょうけれども、廃校になっている谷中小学校の跡地でしたら、音楽室もあります、体育館もあります、日常的にいろんな世代の人たちと交流しながら、子どもの居場所づくり、ということをするのもむずかしいことではないと思うんですね。
そういう意味で、今、総務省なり文部科学省が、今本当に地域コミュニティなり、地域で家庭と学校と地域が協力して子どもたちを育てていこうという施策を進めようとしている、本当にその施策を進めるために、たくさんの新しい建物をつくらなくても、この谷中小学校の跡地というものを利用する、一つの方法として、是非考えていただきたい。そういうふうに市民の皆さんと一緒になって、一度同じテーブルにのって英知を出し合っていただきたいと思っているんですが、その点についてはいかがでしょうか。
この問題については「市民との共働」、あるいは「地域のネットワークをつくる」ことの重要性、市長は常々おっしゃっておられますので、そういう観点から、この谷中小学校跡地の問題をお考えになるおつもりはないのか、それについてお聞かせいただきたいと思います。
●江川政策部長の答弁
谷中小学校跡地の問題につきましては、片山議員からもたびたびご質問いただいておりますが、非常に厳しい財政状況の中で、武里の小学校4校を統廃合し、新たに2校を同時に開校いたしました。このことは、大変大きな事業だと思っております。
さらに今後、子どもたちや父兄の熱い要望に応えて、南小学校の体育館やプールの整備や、さらに学校建設公社からの買戻しを行なうため、多くの財源を必要としております。
このため、旧谷中小学校の跡地の一部を売却することで、財源を調達するものでございます。
もし、売却を行なわなければ、非常に財政運営に支障をきたすことになります。この前もご答弁申し上げましたけれども、校舎を再利用する、目的を変える場合には、やはり耐震補強などの多額の費用がかかってまいります。
さらにそういうことになりますと、財政を圧迫することになってまいります。こういったことから、旧谷中小学校の跡地につきましては、いろいろ議会等にも報告しながら、住民説明会なども開催し、三分の二の売却もやむなしと、とくに、地元の住民の皆さんからも、とくに最初から署名活動を行なってきた自治会からも、市の事情を考えると売却もやむを得ないとのご判断などもいただきながら、私どもとしましては、三分の二の売却、三分の一の跡地の活用、ということで「旧谷中小学校跡地利用住民協議会」などを検討させていただいたところでございます。
具体的な活用につきましては、今,検討をはじめたばかりでございまして、会議方式としましては,三分の一の跡地活用の会議方式としましては,既存体育館の活用,健康福祉施設、あるいは生涯学習、スポーツ、防災環境、地域コミュニティなどのテーマを設定して、自由討議方式として,自由なご意見をいただいたところです。
で、今後、3月27日にも,2回目の協議会が開催される予定になっております。
以上のように,跡地の売却,再利用につきましては、地元の自治会、住民の方々と真剣に話を続けてきた結果、今日に至ってきた結果をみましても,売却方針を変更する気はないかということでございますが、変更はありえないことと、どうぞご理解いただければと思っております。
私どももNPO団体、あるいはボランティアの育成,活用などについては十分承知しております。で、このようなものは政策的にも必要だと認識しておりまして、それらについては、「地域振興ふれあい拠点」の中で、育成活用をはかっていく、という想定もしているところでございます。その中で,市民活動交流センターなどをイメージしながら、現在県などと協議しているところでございます。
こういうものは、4億以上の価値があるのではないか、という片山議員のご指摘でございますけれども、12月22日、新たな地方財政計画が発表されて、担当する財務部長は夜も寝られないほど厳しい状況が続きまして、価値論では済まされないほど、財政が逼迫しておりますことを、ご理解いただきたいと思います。
でまた、先ほどの日本経済新聞によりますと、そういう厳しい経済情勢の中であっても、来年にはもっと交付税は削減ということで、財務省の方針としては7兆円ほどの、というものも出ております。ということで、財政運営は大変な状況でございますので、是非一つ、ご理解のほどをお願いいたします。
●三枝市長の答弁
市民との共働についてですけれども、やはりこれからの社会情勢の中では、市民との共働というものが、さらに必要になってくるだろうと、そういう理解をしておるところでございます。
で、この地域のコミュニティづくりの拠点として、谷中小学校の跡地を利用したいとの市民の声、これを働受け止めるかということだと思いますけれども、一般論と致しましては、今後の行政運営につきましては市民との共働、そういう意味では大いに必要なことだと考えております。
また、地域の活性化のためにも、コミュニティのとくに活性化というものについては重要なことと、これらの活動を地域の方々が積極的に行っていただくということについては、一般論として、私どもとしましては、非常にありがたいことだと考えておるところでございます。
ただ、谷中の小学校の跡地につきましては、これは部長の方から話がありましたように、一つの流れがございましてですね、当時、4校が廃校されて、2校を新設するときにですね、私どもとすれば、文部科学省の方の補助金や起債、そういうものをにらんで、年次的につくっていきたい、という考え方をもっていたわけです。
ところが、武里の地元の方たちから、どうしても2校いっぺんにつくっていただきたい、と、我々はこれは地元の人たちの要望に応えなくてはいけないと、そこでいろいろと県とも話をしたんでございますけれども、たまたま、学校建設公社を利用させていただく、そのとき、県は県で、春日部市が国の一つの枠組みをはずれて、金を借り出して学校1校をつくるということに非常に財政的に心配して、財政的な見通しについてどうなるんだ、という協議の中で、本来は認めない、ということだったんでございますけれども、1校廃校になるんで、そこの敷地を売却して当てますから、ということでやっと県の理解も得られてきたと、そういうことの中から、2校が同時に開校する、これは極めて異例のことだったと私どもは理解しているところでございまして、そういう経過を踏まえた中で、私どもは応えていかなくちゃいけないだろうということです。
その後の経過については、もう議員も充分にお分かりのことだと思います。
それから地域再生の考え方でございますけれども、これも共働とおなじように、私はゆくゆくは、というよりこれからの行政はやはり地域再生の基本的な考え方をもたなくてはいけないだろうというように思っております。
ただ、このことにつきましては、なかなか、資金の使い方、あるいは流れについてもただ単にファンドをつくればいい、ということではなくて、やはり出資者とか事業者とか、いろんな条件がかみ合ってきますから、必ずしもこの、地域再生の基本的な考え方そのものについて、いろんなケースがあるので、基本的には非常に今後、そういう方向になるか思いますけれども、ただ相当むずかしい問題も、この中には内蔵しているんではないかというように考えております。
●3回目の質問(要望)
市長の方から「地域再生プラン」なかなかむずかしいのではないか、とのお話しがありましたけれども、最初からむずかしいと決めつけるのではなくて、やっぱり一つの検討を、こういうコミュニティサービス事業ということで、サービス事業者、ファンド形成の支援の方法などを、私は今、谷中小学校を中心に市民の皆さんの声が上がっているものとして、本当にこれを活用できる可能性は少ないものではないと思っています。
支援事業者、NPOもやる気のある方々がいらっしゃいますし、ファンドをやったときに出資者をどうするかということも、本当に不可能と最初から決めつけないで、検討する価値が私はあると思っています。
それから廃校になった校舎を地域のコミュニティに使っていく場合の、色々補助金の対象なんかもあるわけですから、どの程度の改修をしなければいけないのか、というようなことも、きちんと具体的に検討してからダメだということを決めるのは構わないと思うんですけれども、最初から頭ごなしにできないと言われているような気がして、市民の方々は、なぜなんだという不満が払拭できないわけですから、是非一度、そういうことを、話し合う場なり、市民の皆さんの意見を聞く会というのは設けていただきたいという要望をして、質問を終わります。
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