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★一般質問・その3
<ゆとり教育について>

●1回目の質問
 この「ゆとり教育」は、それまでの教育がいわゆる「詰め込み教育」、知識偏重になっているのではないか、という反省から、子どもたちの「生きる力をゆとりの中で育む」という観点からさまざまな検討がなされて、実施されるにいたったと受け止めております。
 学校5日制の導入により、授業時間が週2時間減ったこと、それにともなって、教科内容が8割程度に削減されたこと、「総合的学習の時間」という、教科書を使わずに、教師が自由に、さまざまな教科を横断して授業する時間が設定されたこと、などが大きな変化と受け止められてきました。

 私自身は、このゆとり教育に関して、細部ではいろいろ疑問はありますが、このゆとり教育が目的としている「生きる力を育む」という点に関しては賛同し、本当にそういう教育であってほしいと思っています。
 ところが、この「ゆとり教育」、実施されて2年足らずの間に、見直し論が盛んになってまいりました。その最も大きな根拠となっているのは、「ゆとり教育」が、「学力低下」を招いているのではないか、というものです。
 「学力」と一口に言いますが、では、学力とはなんでしょう。テストの点数だけではかられるものでしょうか。ゆとり教育のめざす「生きる力」は、テストや点数で図ることができないものではないかと思います。

 また、問題点があればそれを手直ししていくことは必要でしょうが、実施して2年足らずなのに、制度自体を大きく変えようとする動きがあることは余りにも短絡的だと思わずにはいられません。

 そこで、春日部市では「ゆとり教育」をどのように進めてきたのでしょうか。そしてその結果、どのような変化が学校や子どもたちに起こってきたと思われるでしょうか。 
 さらにこのゆとり教育の見直しに対する教育委員会のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

●竹下学校教育担当参事の答弁
 ゆとり教育が導入されました背景につきましては、先ほど、議員からもございましたけれども、子どもたちが時間的、精神的にゆとりのない生活の中で、体験的活動を経験する時間がもてなくなってきた、その中で社会性が不足したり、あるいは自立の遅れがあったり、倫理観の欠如、それには、体力の低下等々の問題が生じ、そして非行問題の低年齢化、あるいは高校中退の問題とかいろいろな社会問題も出てきているわけでございます。
 そこで文部科学省、ときの文部省ですね、としては、これまでの学校教育の指導内容等あるいは指導方法を見直し、子どもたちの生活全体にゆとりを確保し、子ども達が主体的に使えるような時間を増やそうと、そして、学校、家庭、地域が相互に連携しつつ、子どもたちに生活体験でありますとか、自然体験、あるいは社会体験、そういうものを経験させて、いわゆる自ら考える力をつけよう、あるいは豊かな人間性を育てよう、あるいは体力もつけていこう、いわゆる生きる力を育むことをねらいとしたものでございます。

 私ども教育委員会の方針でございますけれども、今申し上げましたような時代背景を受けながら、確かな学力と豊かな心を育み、新しい時代を生き抜く力の育成が図られるよう、もろもろの施策を通して、魅力と創意に満ちた学校教育の推進と、教員の資質向上に努める、としているところでございます。

 で、本市の現状でございますけれども、教育内容の厳選をいたしまして、時間的なゆとり、あるいは精神的なゆとりの中で、基礎基本を確実に身に付けることができるように、少人数指導による指導、習熟度別の指導等を行い、個に応じたきめこまやかな指導の充実を図っているところでございます。
 体験活動では、この場でも何度も申し上げさせていただきましたけれども、車椅子あるいは介護などの福祉体験とか、あるいは、スキー教室、米つくりなどの自然体験、スリーディズチャレンジのような社会体験などの充実を図りながら、手や足はもちろんですけれども、五感をつかって、思いやりや豊かな感性を身に付けるような取り組みを行なっているところでございます。
 これからも引き続き、個に応じた指導の一層の工夫、あるいは考える時間等を確保した問題解決的な学習、具体的な体験学習の充実など、学校に繰り返し指導して参りたいと考えております。

 ゆとり教育の成果はどうなんだ、ということでございますけれども、授業中の子どもの様子でございますけれども、問題に対して知恵を出し、工夫をし、主体的に解くような姿が多くなってきた、それから、その問題解決に向けて、意欲的に取り組む姿が見られるようになったとか、説明がうまくなったとか、もう一つは、授業中の質問が増えたとか、そのような教師の声が聞かれております。
 それから、これらのことは、子どもたちが指示待ちであったという状況が、自ら進んでものごとに積極的に対処していこうというような姿勢の表れかな、と思っております。

 子どもの声としましては、「自分のペースで学習できるので、安心して取り組める」、「いろいろと工夫して考えることが楽しくなった」とか、「ていねいに教えてもらえて分かるようになった」などという声もございます。
 それからスリーディスなどの体験活動を通しての子どもたちでございますけれども、「裏方の仕事の大変さが分かった」とか、「言葉づかいや言葉の大切さが理解できた」というような実感をしているようであります。

 学力低下の問題でございますけれども、学力低下を懸念する声があることは重々承知しております。で、私は、学力には、先ほど議員も言われましたけれども、大きく二つの学力があるだろうと、それは一つは学ぶ意欲とか関心とか思考力とか創造力、これは数値に表せないものでございます。ですから、いわゆる目に見えない学力と呼んでいいだろうと思います。それから今ひとつは、いわゆる物事をしているかどうかとか、あるいは覚えているかどうか、あるいは計算などができるかどうかとか、そのようないわゆる今までの知識・理解的な、あるいは技能面を見るような学力、これを目に見える学力、いわゆるテストで評価できるというのでしょうか、そのような大きくは二つの学力があるだろうと。
 で、私は、双方とも大事だと、両方とも大事な学力であろうと思っています。

 今までは、どちらかというと、余りにも知識・理解面を重視した、そのような教育が行き過ぎていたために、その弊害として、先ほど倫理観が不足している、という部分が御座いましたけれども、そういう弊害が生じてきたんだろうと思っているわけです。
 その反省の元にはじめたのが、今回のゆとり教育であると、激動する社会の中で、未来を担う子どもたちに、今、どんな力をつけるべきか、教育の不易と流行の部分を常に考えていかなければならないだろうというふうに考えております。

 それにしても、問題解決能力であるとか、あるいは道徳心、正義心あるいは体力、こういういわゆる知・徳・体のバランスのとれた教育というのは、いつの世になっても私は重要なことなんだろうと考えております。
 今後もこのようなバランスのとれた人間の育成に向けて、努力してまいりたいと考えているところでございます。

●2回目の質問
 「ゆとり教育」についてもいろいろうかがいたいと思っていたのですが、時間がなくなってまいりましたので、ただ1点。さきほど、「目に見えない学力」と「目に見える学力」、これが相反するもののようにいわれているところが、もちろん教育委員会はそういうふうにお考えになってはいらっしゃらないだろうと思うんですが、そこがちょっと気になるんですね。
 本当に「ゆとり教育」の中で、子どもたちに「生きる力」を育もうとしたら、「見えない学力」というものを土台にしながら、本当の「見える学力」の部分の力がついていくのではないか、先ほど、子ども達が自発的に学ぶようになる、ということを効果としてあげられていました。
 これは本当に「何のために学ぶのか」ということを子どもたちがきちんと認識する、ということが土台になければ、本当の学力は身についていかない、というふうに思っておりますので、そのことに対して、私がちょっと気になっておりますのは、先ほどふれましたように、授業時間が減ってしまったことによって、現場の中ではちょっと、やっぱり時間内に単元を終わらせなければいけない、というような制約がまだまだあるような気がしまして、まだ「ゆとり教育」はじまって2年足らずですので、浸透というのはむずかしいのかな、と思いますけれども、逆にそのために「ゆとり教育」じゃなくて、どうしてもこの時間内に教え込んでしまおう、というようなところが見られるような気がしまして、その点に関して、本当に「ゆとり教育」というものを、現場の先生方と一緒に深めていただきたいと、この点について、これからどのように取り組んでいかれるのか、簡潔に示していただきたいと思います。

 それから、先ほど、「思いやり」とおっしゃっておられましたけれども、やっぱり思いやりを持つということは、自己肯定できる、「自分に自信がもてる」ということがとても大事だと思いますし、それが「生きる力」ということの基本になるというふうに思っています。
 そういう意味で、さきほど触れられてはいなかったんですが、「何のために何を学ぶのか」ということともに、「自分でしっかり自分がやってきたことを評価する力」というものも「ゆとり教育」の中の大事なポイントだと思いますので、その点について、これからどういうふうに16年度進めていらっしゃるのかということを、簡潔にお示しいただければ、と思います。

●竹下学校教育担当参事の答弁
 さきほどの学力の問題でございますけれども、「見える学力」と「見えない学力」、大きく分けると二つあるだろうと、で、私はどちらが先かということは、これは問題無いんだろうと、」そういう表現でいいのかどうか…、どちらも大事であると、どちらに重点をおくかというよりも、私は両方ともしっかり足を据えないといけないだろうと思っているわけです。
 で、先程来申し上げておりますけれども、本市で行っております、「少人数指導」でありますとか「習熟度別の指導」ですとか、これについてはやはり、個に応じた指導、細やかな指導をやっていくためには必要だろうと、ですから16年度も引き続きやっていきたいというふうに思っています。
 で、ちなみに昨年度よりも今年度は少人数指導のために、県教委の方から15人多い、市内28校で46人の少人数指導用の加配を頂いているところでございます。

 いずれにしましても、子どもを育てると言うことは、先ほどいいましたように、学校だけではなく、家庭も地域も全部含めてなんだろうと、出議員も言われましたけれども、やはり、目的をきちんと示すということ、あるいは本人が目的を持つということ、それからそれに応じて好奇心をどう育てていくか、これも非常に大きなことだろうし、自信もまた付けて行かなくてはならない、ですから、もろもろの面から、先ほど申しましたように、少人数指導等も含めながら、指導法の改善を今後も図っていきたいと、このように思っているところでございます。

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