●2007年6月議会一般質問
ーその2ー図書館機能の充実について
★ 1回目の質問
最初に、「図書館の機能」そのものについて伺いたいと思います。
文部科学省が示す「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」によりますと、市町村立図書館求められている機能というのは、大きく二つあるとされています。
1 資料の収集・提供
2 資料や情報の提供または紹介などを行うレファレンス・サービス
これは手元にある資料や情報の提供のみではなく、その分野の適切な専門家や専門機関に照会して情報を入手し、提供するサービスですけれども、そうした専門家や専門機関を利用者へ紹介するレフェラル・サービスというものもあります。
の大きく二つがあるとされています。
1の資料の収集だけでも
①利用者の要求に対応できる、新刊図書及び雑誌の迅速な確保
これには他の図書館との連携・協力による資料整備も含まれます。
また、さらに質・量とも充実させることが望まれています。
②地域内の郷土資料及び行政資料、新聞等多様な資料の整備
③多様な種類・内容の視聴覚資料の収集
④電子資料の作成、収集と提供、並びに外部情報の資料の作成、収集と提供、並びに外部情報の入手に関するサービス
⑤本館や分館等の資料の書籍データの統一的な整備や、インターネット等を活用した正確で迅速な検索システムの整備
⑥貸し出しの充実、予約制度などによる多様な資料要求に的確に応じる体制の整備
などが求められています。
そこで伺います。
現在の春日部市の図書館、中央図書館、武里分館2館の実態の中で、この「望ましいとされる基準」のうち、どの分野の機能は充実しているとお考えでしょうか。
また、残念ながら基準には達していない分野は、どの分野でしょうか。これに関しては、充実がはかれない原因はどこにあるのかも併せてお伺いいたします。
「図書館の機能」について2点目です。
仮称「庄和図書館」ができるということから、今、市民の皆さんから、図書館に対して大きな期待が寄せられています。
この件については、今まで3人の議員から質問がありましたので、重複しない形で、「図書館機能の充実」という視点から、質問いたします。
私は12月議会に提出された請願の賛同を求める経過の中で、
「24万人余りの市民の教育・文化の質の向上を担う図書館として、現在の春日部市の中央図書館、武里分館は十分ではない、もう一館図書館ができるのなら、是非、新しい図書館も含む三館で機能分担をはかり、連携をとりあって、図書館の機能を充実させてほしい」
という市民の皆さんの声をたくさん伺いました。
合併後、とくに昨年度の見直しの中で、現在もある中央図書館、武里図書館との機能分担という角度からの検討・計画の見直しがなされたのかどうかについて伺います。
★ 河井社会教育部長の答弁
文部科学省の示す「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」の中の、資料の収集、提供に関する項目に関して、春日部市立図書館の現状についてですが、
・新刊図書、雑誌の迅速な確保
・他の図書館との連携、協力による資料の整備
・本館、分館の資料の統一的な整備
・インターネットを活用した迅速な検索システムの整備
・貸出しの充実
・予約制度における多様な資料要求に的確に応える体制の整備
などの各項目につきましては、概ね充実していると考えております。
そのうちの電子資料の作成につきましては、今のところ、作成の作業はむずかしい状況にあると考えております。
その原因につきましては、画像データや文字データを電子化し、それをインターネットで公開するには、画像ファイルやテキストファイル及びIT に関して相当の技術と経験をもつ人材が必要です。
そのような技術を持つものが図書館の奉仕業務の傍らで行なうのではなく、専従的に作業に当る必要性を感じております。
資料の電子化及びインターネット上の公開に関しましては、専門的な技術力の向上などの課題がありますので、現状ではむずかしい状況です。
続きまして、仮称「庄和図書館」を含めた3館機能の分担・連携について、及び、図書館建設の600万円の予算にきましてのご質問(注:予算については質問していなかったのですが?)に答弁いたします。
現在、仮称「庄和図書館」建設に向けての準備を進めているところですが、この整備方針の一つといたしまして、市立図書館3館の機能分担を検討しております。
その内容としましては、中央図書館を調査・研究を対象にした図書館として、武里図書館は地域に根ざした貸出し中心の分館として、仮称「庄和図書館」はゆったりとしたスペースで読書に親しみ、学習のできるスペースを備えた滞在型図書館として機能させるというものです。
それぞれの図書館が連携することによって、市民に対して総合的に充実した図書館サービスの提供ができるものと考えております。
次に平成18年予算計上いたしました、設計業務委託料の600万円について説明いたします。
この600万円は、仮称「庄和図書館」の基本設計を委託する予算として計上したところですが、仮称「庄和図書館」の建設準備の配置計画などの見直し作業を現在実施していることから、先の3月議会で繰越明許費として平成19年度に予算を繰越しさせていただきました。
従いまして、今年度はこの予算を使いまして、「森の中の滞在型図書館」のコンセプトを適切に反映することができるような、仮称「庄和図書館」の基本設計を発注して、よりよい図書館をめざしたいと考えておりますので、ご理解ください。
★2回目の質問
先ほど部長の方から、資料の収集についての3点、
・新刊図書、雑誌の迅速な確保
・本館、分館の連携
・インターネットを活用した検索システム
・貸出しの充実
これらについては、春日部市の図書館は充実している、というお答えがありました。
私の質問の仕方が悪かったのかも知れないんですが、二点目のリファレンスサービスやリフェラルサービスの方はどうかな、という点も併せての質問だったのですが、これは2回目の質問の中でふれさせていただきます。
このような部長の答弁でしたけれども、現在の中央図書館、武里図書館に対する市民の皆さんの声というのは、必ずしも利用者のニーズに十分対応しきれていないのではないかな、と,貸出しサービスの方も思うんです。
隣接の自治体では、休館が月2回、というところが増えていますよね。
それから、開館時間も夜9時まで、としているところが増えてきています。
春日部市の図書館は休館が多いよね、閉館時間も早いよね、というところで、利用者のニーズに十分対応しきれているのかな、という疑問があります。
中央図書館も武里図書館も本当によく利用されています。それに対して職員さんがあまりにも忙しすぎる、という実態があると思うんです。
で、これは充実が妨げられている点として、部長さんがお挙げになった、電子資料の作成、収集、提供、といったところで、専門的な職員さんがなかなか配置できないんだと、で、画像化したり、データとして市民に提供できるものがなかなかできない、という点と重なってくると思うんですけれども、他の自治体の図書館をみますと、図書館ボランティアさんたちの協力をいただきまして、そのことによって貸出し業務や簡単な利用者さんからの相談などにはそういう方々が当たりながら、司書という専門職の職員さんたちは、図書館に要求されている機能の充実のところで力を発揮できるのかな、という印象をもっています。
専門の図書館の職員さんがもっている力をフルに発揮していただいて、市民の皆さんの要求に応えられる図書館機能を充実させていただくために、是非、そいういった人材という問題について、これは図書館が3館になるという時期ですから、そういう観点からの検討もしていただきたいと思います。
それから、先ほどの2点目の「庄和図書館」建設の構想の中で、現在の中央図書館は調査・研究機能を充実させる、武里図書館は地域密着型の図書館として貸出し機能を中心に、庄和図書館は滞在型としてゆっくり本に親しんだり、視聴覚ライブラリーに親しんだりする、そういう「森の中の図書館」にふさわしい図書館になるというお話をうかがって、そういう方向がふさわしいのかな、と思うのですが。
すると、現在の中央図書館なんですが、調査・研究のできる図書館にするためにも、余りにもスペースが狭いのかな、という印象です。
現在蔵書数が38万冊でしたか、是非是非、蔵書数の充実も大事でしょうけれども、余りにも狭隘な中央図書館の蔵書等を、庄和の図書館建設と併せて蔵書をどういうふうにするのか、ということを整理していただいて、今はオンラインで、中央図書館になければ他の図書館からも、他の自治体の図書館からも、国会図書館からも借りられる、というふうになっていますから、是非、蔵書をどうするのか、そのためには、庄和の図書館のスペースが1600平方メートルでいいのかどうか、これはきちんと、私は、早く庄和の図書館をつくてほしい、という声もわかるんですが、スペースをどうするのか、ということを十分と検討していただいて、拙速につくるのではなく、中途半端な図書館にするのではなく、建物をお金をかけて整備してしまえば、その後、狭いスペースを広くするというのは新たなお金がかかることですから、今、これから望まれる図書館として庄和の旧庁舎、今は総合史支所になっていますけれども、そのスペースをどう使うのか、ということをもう一回ここは見直していただきたいと思うんですよ。
それが、旧庄和の皆さんだけでなく、旧春日部の、請願に署名した多くの市民の本当に切実な願いだと思いますので、急ぐのではなく、じっくりとこれは本当に市民の皆さんから声をもう1回聞いてもいいくらいの大問題だと思いますので、是非、3館で機能分担を図って、連携をとって図書館機能を充実させる、という観点で仮称「庄和図書館」の建設を進めていただきたいと思います。
★ 河井社会教育部長の答弁
レファレンスサービス及びリフェラルサービスつきまして、答弁申し上げます。
レファレンスサービスにつきましては、中央図書館のリファレンス室に約6,000冊、閉架書庫に約7,000冊のレファレンス図書を所蔵し、担当職員がレファレンスに応じております。
武里図書館におきましても、約2,000冊のレファレンス図書を所蔵し、司書資格をもつ職員がレファレンスに当っております。
また、県立図書館をはじめとしまして、県内の公立図書館、総合教育センター、埼玉文学館、県民活動総合センターとネットワークを組みまして、利用者が必要としている資料の提供につとめております。
それでも利用者に資料を提供できないときは、他の図書館や専門機関、専門家から情報を入手したり、そうした図書館専門機関、専門家を紹介するリファレルサービスにつきましても、図書館で所蔵するレファレンスツールやインターネット、図書館のネットワーク及び春日部市の関係部署と連携をとって、利用者が求める情報を得られるように勤めておりますので、充実しているものと考えております。
次に、現在の中央図書館の蔵書を新しい図書館に移し、情報提供やアドバイスのできる図書館にしてはどうかの質問にお答えします。
中央図書館の蔵書冊数は、平成18年度末現在、一般図書が約30万冊、児童図書が約12万冊、レファレンス図書と郷土資料が合わせて約2万冊、合計約44万冊となっております。
そのうち、比較的保存状態のよいものを、仮称「庄和図書館」が開館しました折には活用できるように保存しております。
新しい図書館ができました折には、中央図書館、武里図書館、新しい図書館の機能分担を考慮いたしまして、適切な資料配分を行い、3館のネットワークの元、図書館サービスの充実に努めて参りたいと考えております。
庄和図書館の建設について、財政状況の好転をまって、時間をかけてよりよいものを建設すべきではないかという点について、ご答弁いたします。
図書館建設の準備を進める上でも、建設に係る経費の財源を確保することは、重要な課題の一つとして認識いたしております。
昨年12月の「森の中の滞在型図書館の早期実現を求める請願書」の賛成討論の中でも、
「市の財政は年々厳しさを増している中で、最大限の財源確保に努力していただきたい」
また、
「財源的な理由で計画が縮小されて、中途半端な施設になることがないよう、長期的な展望に立ち、将来に誇れる施設をお願いしたい」
というようなご意見をいただいたことから、今年度におきましては、仮称「庄和図書館」の基本設計の業務委託を発注いたしまして、設計の内容をm確認した後に現在の状況を踏まえた次の課題の研究を進めていきたいと考えております。
先ほどのデータベースに関連する人材の確保、という点についてです。図書館のデータベースは非常にむずかしい問題がございます。
先ほども今の状況ではむずかしいというご答弁を申し上げましたけれども、この人材の確保に当りましても、司書の確保も必要ですし、ITの専門的な技術を擁する職員も必要となりますので、担当課に要望して参りたいと考えております。
★石川市長の答弁
仮称「庄和図書館」の今後のスケジュールでございますが、昨年度より繰越しました600万円を使いまして、今年度中には基本設計業務を進めてまいりたいと考えております。
この基本設計業務では、図書館の配置計画や、概ねの建設費なども明らかになりますし、庄和総合支所の改修を進める上での新たな課題なども出てくることが予想されますことから、その後のスケジュールにつきましては、基本設計業務の内容を確認しながら、次の段階へ進むものと考えておりまます。
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