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2007年12月議会議案に対する討論・その1

「春日部市総合振興計画基本構想について」
反対討論

 私たち「フォーラム春日部」は、総合振興計画の策定にあたり、「財政計画」もしくは「財政見通し」が示されていないことに意義を唱えて参りました。

 また、合併の賛否を判断する「合併公約」の基本となった「新市建設計画」と「総合振興計画」の整合性が、どのように図られているかについて、検討してまいりました。

 この2点はきわめて重要であることから、討論としては少々長くなることに対して、ご理解いただきたいと思います。

  総務省は、合併する市町村に対して、「新市建設計画と総合振興計画の基本構想の関係について」次のように示しています。

「計画策定時の市民参加がより重視されてきている昨今の事情もあり、新市誕生後の基本構想・基本計画を市民参加により議論するケースが考えられる。しかしながら、この場合でも、基本構想・基本計画は、新市建設計画事業を基本ベースとして策定すべきものである。なぜなら新市建設計画は、国や県との事前協議を通じ、合併特例債などの財源の担保をもった計画であり、これを基本から逸脱することは、将来の計画財源の裏づけを欠いたものとなり、ほかに自主財源や別の制度的な財源の見込みがない場合は、財政的に実効性を欠いたものとなるおそれがあるからである。基本構想・基本計画を策定した結果、新市建設計画の事業体系が大きく変動した場合には、新市建設計画自体を合併特例法第5情の規定により変更し、改めて財源確保を図る必要があるものと解される」

 としています。

 今回の「総合振興計画」策定の種々の段階で、
「『総合振興計画』」は、『新市建設計画』を尊重する」
 との説明を受けてまいりました。

  しかし、本会議の質疑に対し、
「『新市建設計画』」は平成27年度まで計画として残り、新たに『総合振興計画』を策定するが、期間の重複する7年間は二つの計画が存在する。しかしながら『総合振興計画』が上位計画となる」
 との答弁もありました。

 「新市建設計画」と「総合振興計画」の二つのまちづくり計画が同時に存在しても、そこに矛盾が生じないのは、先ほどの総務省の見解にあるように、「総合振興計画」が「新市建設計画」をふまえて策定されることが前提となっているからです。

  そのような観点から、今回の「総合振興計画」策定の過程をみてみますと、「総合振興計画」が法の前提をふまえ、「新市建設計画」をどのように尊重し、その趣旨や内容を生かした形で審議が行われたのかについて、まったく理解できませんでした。

 たとえば、「総合振興計画」策定のスタートとなった「地域まちづくり広場」と名付けられた「市民ワークショップ」をスタートする時点で、これについては一切ふれず、合併前の「新市建設計画」策定の経緯に触れたのち、
「このたび策定する『春日部市総合振興計画』は、合併後初めて市民の皆様と一緒に恊働でつくる計画になる」 とし、まったく新しい計画を策定するかのごとき認識がもたれるような説明がなされたそうです。

 その後の計画策定の進め方のどこにも、「新市建設計画」との整合性を図るものであるとの説明はなされていませんし、「新市建設計画」について資料として示されたのは、ほとんど原案が煮詰まるころであり、そこでも整合性についっての検討はなされなかったとのことです。
 唯一、「新市建設計画」との整合性を検討しているのは、条例によって定められている、春日部地域、庄和地域それぞれにおかれた「地域まちづくり審議会」です。

 その結果、「地域まちづくり審議会」からは、「おおむね整合性があるとする」とする答申こそ出されましたが、その検討の中で、
「『新市建設計画』を十分尊重した上で、新たな『総合振興計画』をつくりあげるものとしながら、素案を作り上げるまでに、特に重要な基本理念や基本目標を変更するにもかかわらず、地域まちづくり審議会委員の意見を求めていない」
 とする指摘がありました。

 このような策定の経緯からは、合併の賛否を市民に求める「合併公約」であった「新市建設計画」が尊重された計画となっているのか、はなはだ疑問が残ります。

 その上、基本構想を具体化した基本計画があまりにも総花的であり、重点施策がきわめて分かりにくいものとなっています。本会議の質疑を通しても、一体、市町が何を重点示唆勲位しているのかが、理解できませんでした。
 そのため、「新市建設計画」と整合性があるものなのか、あるいは重要施策の変更があり、「新市建設計画の変更」として、新たな財政計画を策定する必要なものであるか、判断できません。

 「新市建設計画」の変更であれば、新たな財政計画を策定する必要があり、さらにそれを、
「ただちにこれを公表するとともに、総務大臣及び合併関係市町村を包括する都道府県知事に送付しなければならない」
とする合併特例法の第5条4項に該当します。

 これはいかに合併特例法が平成17年3月31をもって失効した時限立法であっても、新市建設計画が有効である期間内には提要されるからです。

 このような意味から、「新市建設計画」の変更には当たらないか否かの判断はきわめて重要であり、審議の最後までそれが明確にされなかったのは、非常に問題であると考えます。

 今回、「総合振興計画」に新たな財政計画が示されていないということは、「新市建設計画」に示されている「財政計画」をそのまま踏襲すると考えられますが、そうなると、「社会経済情勢の変化や国の進める構造改革など、地方行政を取り巻く環境は一層厳しい局面を迎えている」として、「新市建設計画」の理念や基本は踏襲しつつも、新たに「総合振興計画」を策定するとした「計画策定の意義」が薄れるのではないでしょうか。

 また、この「総合振興計画」策定にあたって、「新市建設計画」策定時から国の地方財政計画が大きく変化してきた状況を踏まえて、今後10年間の財政見通しを検討しなかったのかとなれば、将来の財政運営が危ぶまれる事態が生じる恐れもあります。

  こういった経過から、「総合振興計画」策定という、財政計画の見直しやそれに沿ったまちづくり計画を再検討する、という将来の春日部市にとって、またとないチャンスを逸したのではないかと考えます。

 総合振興計画基本構想の議決は、いうまでもなく、議会に委ねられています。そのような責任の重さを考えるとき、私たち「フォーラム春日部」としては、この「総合振興計画」には更なる検討が必要であると判断し、反対いたします。

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05-09-01