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2007年12月議会議案に対する質疑・その1

「春日部市総合振興計画基本構想について」

★1回目の質疑

 私が4番目の質疑者になりますので、角度を変えて、この基本構想の策定の経過について主に5点、伺いたいと思います。

 まず1点目として「新市建設計画」との関連について伺います。

 これは先の9月議会でも、一般質問させていただきましたが、「新市建設計画」というのは、合併前の計画策定とは言いましても、この計画を元に「合併公約」を市民の皆さんに示し、合併に対する賛否を問うたものです。
 当時、合併後の新しい市になったら、本当にこの計画通りにまちづくりが進められるのか、という疑問・指摘がありました。
 そしてその都度、「できるだけ新市に引き継ぎ、踏襲していくこと」、さらに、合併後に春日部地域、庄和地域、それぞれに設置される「地域まちづくり審議会」において、「新市建設計画」の進捗状況をチェックし、見直していく、との説明を受けてきました。

 当然のことですけれども、合併後10年間のまちづくりといいましても、その間の社会状況等の変化により、修正が必要となってくること、これには異存がありません。
 そのためにも、「新市建設計画」の見直しはどういう組織で、どのように行われるのか、ということが、大変重要になってくると考えております。

 この点について、以下の2点について伺います。
? 今までのこの件についての質疑の中で分かってきたことは、合併後は速やかに新市の10年間のまちづくりを進めるための「総合振興計画」を策定するのだと。 
 「新市建設計画」というのは「総合振興計画」を策定するまでの計画であった、と明言されてきました。
 ではこの点について、合併前、あるいは「合併公約」を市民の皆さんに示すときに、きちんと「合併後は総合振興計画を策定する」ということを公表し、市民の皆さんに納得をいただいて、合併の賛否を問うたでしょうか。
 その点について、お尋ねいたします。

?「総合振興計画」について最終的に審議する機関は「総合振興計画審議会」であり、また、「基本構想」はこの議会に諮られ、議決されるということです。
 一方、「新市建設計画」の進捗状況をチェックし、見直すのは「地域まちづくり審議会」です。

 この二つの別々の審議会が、新しい市のまちづくり、という同じ課題に向かって検討を進める場合、両者の関係は非常に微妙なものになってくると考えられます。
 この「地域まちづくり審議会」と「総合振興計画審議会」、この二つの審議会の関係性について、それぞれの審議会の委員さん、あるいは、さらに市民の皆さんが、役割をきちんと認識できていたのかについて、どう判断されているでしょうか。

 大きく2点目の質疑に移ります。
 この「総合振興計画」については、市民参加の元に、市民と全職員の共同でつくりあげたものだ、ということです。
 それは非常に評価できる点だと思います。
 さらに、議会に対しまして今まで3回の全員協議会を重ね、議会でも慎重に審議する機会が得られてきた、この点も評価できます。

 しかし、その全員協議会の質疑の中で、1回目から、「基本に関わること」、「全体の構成に関わること」さらに、「見出し等の言い回し、表現」等の大きな点についての大幅な修正はできない、と言われ続けてきました。
 それは、この「総合振興計画」の基本的な原案が、「市民ワークショップ・市民広場」を重ね、それを受けた「市民まちづくり会議」の総意の元に地域ごとに提言書をまとめ、それに沿って原案をつくったからで、それに対して大幅な修正を加えることは「市民が合意してつくった原案」に対してNOということになるから、それは非常にまずいという説明を受けて参りました。

 確かに、市民参加の元で、市民の意志を大切にすることは基本だと考えられます。
 しかし、市民まちづくり広場に参加したのは、44人、50人に足りないメンバーだったと聞いています。
 だからこそ、市民意向調査を行い、またまちづくりの課題を把握するために、「転出者調査」を行った、これも非常に評価できる点だと思います。
 さらに、「地域まちづくり審議会」、そして「総合振興計画審議会」にはかり、修正を加えたものを、「市民意見提出制度」にはかり、これによって広範な市民の皆さんの意見を募った、という過程になっていると思います。
 先ほど、奥沢総合政策部長の方から、「市民意向調査」の結果については、「今後これを踏まえて実施計画をつくってまいりたい」というような答弁があったかと思うんですけれども、私どもはあくまでも、この「市民意向調査」というのは、原案作成のときに生かされている、というふうに解釈しておりましたので、その点にはどうか、ここで確認させていただきます。

 で、このような過程を、各種審議会等の議事録等,資料をつき合わせてみましたが、やはり、基本的な方針等についての検討が行われたのかということが、私には明確には判断がつきませんでした。
 象徴的なものが、都市の将来像を著すための、メインテーマいわゆる「キャッチコピー」について伺います。

 「新市建設計画」のまちづくりの基本となるテーマは「人・自然・産業が調和した“ふれあい共生都市”」でした。
 これは「共生」という表現をすることによって、極めて具体的に新しい春日部の将来像がイメージできると思います。
 しかしながら、今回提案されている「総合振興計画」の将来像は、「人・自然・産業が調和した」というところまでは一緒ですが、“快適創造都市”というふうに変わっています。

 この“快適創造”という表現に、なぜ“ふれあい共生”から変わったのか、その議論がどこで行われたのか、その過程が、いろんな資料を見ても分かりませんでした。
 また、その後いろいろ寄せられた意見の中でも、「なぜ“快適創造都市”になったのか」、これに対する意見がたくさん寄せられていると私は考えております。
 一体、「快適さを創り出していく」というものなのか、あるいは「快適さ」と併せて「創造性」も求めていくものなのかという根本的な意味があいまいな造語であるという指摘があります。

 次に、もし「快適さを創造する」ものだとしたら、ではその快適さとは何なのか、この方向性こそ、基本構想の柱として最も大切なものになるのではないでしょうか。
 ある人にとっては、利便性こそ、快適さだと考えるかも知れません。
 ある人は、多少の利便性が損なわれることがあっても、たとえば生活的な弱者野かたがたに優しい、支え合うまちこそ快適だと思われるかも知れません。
 車を優先するのか、歩行者を優先するのか、それに矛盾しないような快適さを求めていくのか、というようなそんなまちづくりの根幹に係ることが議論されなければいけないと思います。

 春日部市というまちをどういう都市イメージにするのか、この柱こそ、「基本構想」の中の基本中の基本と思われます。
 「快適さ」の中身も含め、その議論がどうも明確でないと思われますが、その点について、どこでどういうふうに議論されたのか、お伺いいたします。

 2つ目の質疑に関連して3点目です。
 多分、「快適さ」の具体的な中身については「基本構想」の第1章から第3章について解説を加え、それをまとめたものが第4章の施策の大綱である、というふうにお考えかもしれません。

 確かに第1章の基本理念には、?市民主役、?環境共生、?自立都市、という三つの理念が掲げられています。
 しかし、春日部市として、なにを重点的な課題として取り組むのか、最終的な施策の大綱を見たときに、これも先ほどからいろいろ質疑が続いておりますけれども、あまりにも総花的で、先ほど市長はバランスよく、とおっしゃいましたけれども、バランスよく、という言葉の陰に隠れて、重点課題が見えてこないのではないでしょうか。

 私はこれは、市民参加で進めながら、最終的に何をまず優先課題として取り組むのか、絞り込みが十分でなかったからではないかと考えます。
 平たく言ってしまうと、これからの10年で、本当にこの「基本構想」が全部実現できるの? という素朴な疑問であり、さらに参考資料として示されている「前期の基本計画」に盛り込まれた事業が、本当に全部が、5年間で実現可能なのか、という素朴な疑問です。

 ここで改めてお伺いしたいのは「総合振興計画基本構想」とは、先ほど「大局的に見て」というお話がありましたけれども、市民の皆さんが求めているのは、大局的ではあっても、しかしながら、今後10年間のまちづくり、春日部市は何を重点的に進めていくのか、それをまず求めていると思いますけれども、「総合振興計画基本構想」とは一体、どのようなものとお考えなのか、その認識について、改めてここで伺います。

 4点目、この構想には、財政的な見通しが示されていません。
 確かに、国の地方財政計画が毎年のように変わり、また、景気の動向も不透明な現代、10年間の財政見通しなどむずかしい、というのが本音でしょう。
 しかし、市政を運営している以上、いかに見通しがむずかしい状況であっても、春日部市として財政見通しを立てなければいけない、これは基本中の基本であると思います。
 先ほど奥沢部長はシミュレーションはつくっている、と答弁されました。
 だったらなぜ、参考資料として、この「基本構想」と一緒に財政見通しがつけられなかったのでしょうか。

 私ども「フォーラム春日部」は、もし、この財政シミュレーションが12月末の国の地方財政計画がまとまるまでむずかしいのであれば、せめて、この「基本構想」の提案を12月議会に提出するのではなく、先に延ばして財政シミュレーションと一緒に提案すべきではないか、と要望してまいりました。
 しかし今回、シミュレーションなしにここで「基本構想」が提案されています。
 それで、本当に市民の皆さんがこの「基本構想」や「基本計画」に対して信頼を寄せることが可能でしょうか。

 たとえば、これから最悪の事態を想定する、市の財政がこれだけ厳しくなる、だけれども春日部市としては、これはどんな財政状況が悪くなっても、これだけはきちんと取り組んでいく、という姿勢。
 あるいは景気の動向がよくなったときには、次にはこれに取り組みましょう、という過程、そういうものでもいいと思います。
 とにかく、財政的な裏付けのない構想というのは、私は納得できませんし、信頼が得られないのではないかと思いました。

 先ほどの答弁の中で、耳を疑うものがありましたけれども、財政的に厳しくなったときに、どこでその財源をもってくるか、という議論がありましたけれども、「自立都市」をめざすのであったら、どこからか財源をかき集めてくるのではなく、春日部の財政のやりくりの中で、何を重点課題として取り組んでいくのか、ということをきちんと示していただくこと、これが第一ではないかと考えますが、それについてはいかがでしょうか。

 最後に5点目になります。
 この「総合振興計画」策定にあたっては、委託料として確か1,428万円が予算計上されています。
 ここで改めて、委託料の内訳、金額も併せてお示しいただきたいと思います。

 1回目は以上です。

★ 奥沢総合政策部長の答弁

「新市建設計画」については「総合振興計画」を策定するまでの計画であるが、そのことを市民の皆さんに納得いただいているかどうかについて答弁いたします。

 「新市建設計画」については「合併の特例に関する法律」に基づき、合併する市町は策定しなければならないとされています。計画期間につきまして合併後10年ということで、本市の場合には平成27年までの計画です。

 一方「総合振興計画基本構想」につきましては根拠法がちがいまして、「地方自治法」第2条4項に定めるように、「総合的かつ計画的な運営を図るための基本構想を定めなければならない」ということを根拠にしているものです。

 今回、議案として提出させていただいた「総合振興計画基本構想」につきましては、29年までの10年間の計画です。
 この「総合振興計画」が策定されたからといって「新市建設計画」がなくなるというわけではありません。
 平成20年度以降につきましては、「新市建設計画」及び「総合振興計画」が並列の形で整合を図りながら事務事業を展開し、行政運営を進めてまいるということになります。

 しかし「総合振興計画」が最上位の計画ですので、整合は図るんですが、「総合振興計画」の方で事務事業を展開していくというのが、基本的な考え方です。

 そのようなことで、「新市建設計画」は計画としてはなくならないんですが、そのことについては、審議会等で説明申し上げ、ご理解いただいているものと考えております。

 次に、「総合振興計画審議会」と「地域まちづくり審議会」とのちがいについて答弁申し上げます。

 今回の「総合振興計画」につきましては、合併後はじめての計画で、合併時の公約であります「新市建設計画」を基本とすることから、「総合振興計画審議会」のほかに、春日部・庄和両地域の「地域まちづくり審議会」にもご意見を伺ったところです。
 「地域まちづくり審議会」におきましては、主に「新市建設計画」の進捗及び変更に関することを所掌事項としておりますので、その関連から「基本構想の策定につきましても所掌事項の一つとして規定されているものです。
 そこで、今回の「総合振興計画」の策定に当たりまして、一つは「新市建設計画」の基本的な考え方や趣旨が「総合振興計画」にどのように受け継がれているのか、もう一つは、春日部・庄和、両地域の懸案や課題が、「総合振興計画」にどのように位置づけられているのか、などについて、「地域まちづくり審議会」の立場からご審議いただいたものです。
 その際、「新市建設計画」を策定した時点から、一定の時間的経過がありますので、その間の社会情勢等の変化等についてもご配慮いただきながらご審議いただいたものです。

 一方、「総合振興計画審議会」の方につきましては、「総合振興計画」についてバランスンに配慮しながらご審議いただいたものです。
 そういったことで、審議の視点が若干ちがっている、というところです。

 次に、「ふれあい共生都市」から「快適創造都市」への変更は、どのような経緯で行われたかですが、この将来像を掲げた経緯に関しましては、「新市建設計画」では、「人・自然・産業が調和した“ふれあい共生都市”」を新市の将来像としておりましたが、市民参加のために設置しておりました「地域まちづくり会議」から意見が出されたことが発端となって、“快適創造都市”ということになったものです。

 この「市民まちづくり会議」では、メンバーの方々に、春日部市の将来都市像について、キイワードを自由に提案いただきました。
 その中に“快適”という言葉がありまして、将来の春日部は“快適をつくり出す”都市でありたい、という意見が多数を占めたところです。

 そこで「市民まちづくり会議」においては、これを将来像の案とすることで決定し、提出されたわけです。その後庁内の組織である「総合振興計画策定委員会」、あるいは諮問機関である審議会等の議論を通して、これからのまちづくりのキイワードとして“快適”という言葉を採用することとなったものです。
 これは「新市建設計画」の将来像であります「人・自然・産業が調和した“ふれあい共生都市”」を一歩進めて、本市のまちづくりの将来像をより具体的に、明確に提示したものとご理解願えれば、と思います。
 その際、「ふれあい共生」という意味は、「人・自然・産業が調和する」という表現の中に含まれて、そこで十分読み取れるだろうということで、「新市建設計画」の基本的な考え、将来像というものは踏襲されている、というふうに考えているものです。

 そういうようなことで、「快適な都市を創造する」という、これまでよりも一歩進んだ明確な意義を「総合振興計画」の将来像に示して.本市のまちづくりの方向性を明確に示したものというようにご理解いただければ、と思います。

 次に、「総合振興計画」というのはどのようなものなのか、というご質疑でした。
 これは、振興計画は市の最上位の計画で、各部門計画との整合を図るとともに、全庁的に施策を網羅しなければならないというふうに考えております。

 また、これらの幅広い分野において、すべてを重点におくということは到底できないものですが、総論におきまして時代の潮流、市民意向、まちづくりの課題として、一定の課題に集約しているところです。

 先ほども答弁申し上げましたとおり、「基本構想」につきましては、地方自治法に規定され、議会の議決を経て、「総合的かつ計画的な行政運営を進めるために策定しなければならない」ということになっておりますので、そういう位置づけの計画であると考えております。
 この計画期間を10年間とすることで、この間のまちづくりの課題の中で、これらを掲げてその上で将来像,将来人口という目標を掲げ、大きなグランドデザインである土地利用について規定した後に、個々の基本目標別の施策展開方針をお示ししている、という内容です。

 一方「基本計画」につきましては、より具体性を持たせたものとして、基本目標ごとに政策・施策へと一連の流れをもつ計画です。計画期間も5年となっているものです。
 5年間の計画に掲げた目標の達成に向けて、各種々の施策を展開して参ります。
 もちろん、全部達成するように努力致すんですが、仮に諸般の事情で達成できなかったというものについては、検討の後,後期計画に位置づける、ということもまた、検討していく、ということです。
 そのようなことで、「総合振興計画」の位置づけということを考えているところです。

 次に、財政シミュレーションの記載がどうしてないのか、ということですが、やはり、今後10年間の見通しを立てるというのは、非常にむずかしい状況がある、ということで、今回のこの構想には、財政計画を含めていない、ということです。

 ただ、構想・計画の実現のためには、財政との整合を図ることは当然必要なことですので、3年を計画期間とした実施計画の中で、より現実に即した財政見通しを示して参りたいと考えております。
 少なくとも現在、20年度の予算編成中です。従って20年度の財政見通しというものについては、ある程度まとまったものでお示ししていったほうがいいだろうというような考え方ももっているところです。

 最後になりますが、「総合振興計画」策定委託に関するご質疑です。

 「総合振興計画」の策定につきましては、策定の一部を、策定支援業務という形で業務委託を行っています。

 委託料は税込みで1,428万円です。策定年度は、18年度,19年度ということで、2年間の合計金額です。
 この策定支援業務の内容の内訳ですが、人口推計など専門的知識を要する作業、あるいは施策に関する基礎的データの整理で約200万円、市民意向調査などの作成・実施・集計・分析等でおよそ200万円、それから市民参加ということで計画当初から実施して参りました「市民ワークショップ」などの市民参加の企画運営支援ということで500万円、それから最終的に計画書、あるいは概要版を印刷するそれらの経費で約500万円という内訳です。

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