●2007年12月議会一般質問
ーその3ー公共交通の整備について
★ 1回目の質問
春日部市の公共交通の整備については、さまざまなニーズ調査により、交通不便地域の解消をめざし、「地域公共交通再編計画」が策定され、示されています。
この計画について、4点にわたってお伺いします。
1 公共交通網を整備する意義について、まず大前提として伺います。
現在、交通不便地域を解消する、というところに重点が置かれて計画が策定されていると思いますけれども、公共交通網を整備する意義については、その目的のほか、
・ ガソリンの高騰や高齢化によって、マイカーを手放したいと考える家庭が今後増える、といった社会的背景に沿ったものにすること。
・ あるいは石油という化石燃料が枯渇する時期が迫ってきている、または地球温暖化防止、といった背景から,公共交通を整備するべきではないか
などを踏まえ、幅広くその必要性が論じられています。
交通不便地域の解消という観点だけでなく、こういった観点からの見直しの必要性については、どのようにお考えでしょうか。
2 このたび策定する予定の「総合振興計画」の中では、この「公共交通再編計画」をふまえて、現状の24路線から、5年後には29路線に拡大することとなっています。
これに対して、市の財政負担はどのくらいと考えているでしょうか。
計画の策定段階の財政的負担と、分かったら、29路線とするための投資額や採算が取れない場合の補助金も含めて、お示しください。
3 来年2月から運行される予定のコミュニティバスについては、その利便性について、路線経路、あるいは運行本数などから、疑問の声があがっております。
これを考えるために、その基礎資料として現在運行している路線バスの運行状況と、乗客数について、お分かりになる範囲でお示しください。
4 今後、バス路線を増やし、できるだけ採算性をあげていく、ということは、交通不便地域の解消という観点だけでは、かなりむずかしいものがあると考えられます。
5年後を見据え、財政状況を考えると、これは3点目の質問を踏まえてのこととなりますけれども、メリットの高い方法を考えていくべきではないかと思います。
そういう観点から、現在デマンド方式のバスやタクシー、これは乗客の需要に応じて運行するバスや乗り合いタクシーですが、それを、公共交通の中に取り入れる自治体もあります。
部長は、先日のこの質問に対して、デマンド方式はデメリットがあるという答弁ではなしに、リスクを負う危険性がある、と、かなり否定的といいますか、あまり好意的ではない答弁をされていました。
リスクがあるという風にお答えになったのは、どのような点にリスクがあるとお考えなのでしょうか。お答えください。
★ 奥沢総合政策部長の答弁
まず、公共交通の必要性・重要性について、どのように考えているかですが、現代社会に目を向けてみますと、マイカー等の過度な依存によりまして、都市部では交通渋滞や交通事故等が発生して、自動車の排気ガスによる大気汚染、地球温暖化の影響が問題になっているという状況です。
また、一方では高齢社会の伸展によりまして、自動車の運転に不安を抱える高齢者の方々の日常生活の交通手段の確保が重要な課題ともなっております。
そうしたことから、公共交通を整備することは、これらの交通面、福祉面、環境面の課題を解決できる一つの手法として、その必要性が再認識されておりまして、市としましてもその充実の必要性、重要性について認識しているところです。
議員ご質問の通り、公共交通の整備を進めていく中で、公共交通に対してどの地域の方がどのような意向をもっているか、そのニーズを的確に把握するということが大変重要であると考えておりまして、その把握の中で、マイカー等から公共交通への利用転換、公共交通の利用促進をはかっていきたいと考えております。
次に、「総合振興計画」のバス路線数の目標値、29路線の財政負担についてですが、今回ご提案申し上げている「総合振興計画」の中で、24年度の目標値として現在から5路線増加の29路線を設定しております。
この増加の5路線の内訳としましては、市のコミュニティバスの4路線、それと公共交通の重要な役割を担っております路線バスにつきまして事業者との協議を行うことによって1路線の新設、これは延伸ということがあるかと思いますが、これを1路線というふうにとらえて5路線としたところです。
この路線に係る財政負担ですが、まず民間の24路線のうち、補助を行っております豊野方面の路線バスについては,年間の補助額が現在のところ,年間1千万円強ということで、これは運行開始から5年間ということで、21年度までの補助を予定しています。
また、コミュニティバス4路線につきましては、あくまでも現時点の試算ということですが、年間の運行経費が約2千万円、これに対して運賃収入見込みが約600万円という試算で、委託料としては約1,400万円を見込んでいるところです。
で、このコミュニティバスの運行経費と運賃収入の差額を委託料とすることから、利用者が多ければ多いほど財政負担を減少しますので、利用促進に向けた努力を重点的に進めていきたいというふうに考えております。
また、このコミュニティバス以外の1路線の新設分につきましては、バス事業者の自主運行によりじつげんさせたいというふうに考えておりますので、その分の財政負担は想定していないところです。
次に、3点目の、市内で運行している路線バスの運行状況と乗車数ですが、現在市内には24路線の路線バスが運行しております。
この路線バスにつきましては、採算性を重視した運行となっておりますので、最も利用が多いと見込まれる通勤・通学の時間帯は、おおむね10分に1本程度、しかも主に住宅の多い地域を運行しております。
運行状況についていくつかの例を申し上げますと、運行時間帯は各路線とも、おおむね午前6時から午後10時台までとなっております。
運行本数につきましては、春日部駅西口を起点とした路線では、春日部温泉線が1日92本、そのほか、市役所から秀和病院、豊町6丁目循環線は、両方とも1日に44本、春日部駅東口を起点とした、関宿ターミナル線は同じく44本、武里駅を起点とした路線では、せんげん台駅せん、これが1日に60本運行している状況です。
これに対しまして、市のコミュニティバスは、運行時間帯が午前7時台から午後8時台までで、運行本数については3コースが1日5本、1コースが1日8本、そして各コース週3日の運行ということで、路線バスと比較しますと、運行本数、日数とも少ない状況です。
これは、今回のコミュニティバスが、今後高齢化がさらに進む中で、高齢者の方々の買い物や通院等の利便性向上に役立つ公共交通を提供していく必要があるという考え方に基づき、高齢者を重視した公共交通の提供ということを基本的な方針とした,運行目的のちがいによるものです。
なお、先ほど申し上げた24路線の路線バスの乗客数ですが、全路線、年間約200万人が利用しているというふうに聞いているところです。
次にデマンド方式のバスやタクシーなどのリスク、という答弁をした、ということの中身ですが、この方式につきましては、公共交通の整備にあたって、他の公共事業と同様に、最小の経費で最大の効果を導くような手法を導入することが必要というふうに考えております。
従って、今回のコミュニティバスは、先ほど答弁いたしましたように、運行後、利用動向や市民意向等を調査・分析しながら、運行日数や路線の拡充を検討する、第2次計画の策定を行ってまいりたいと考えております。
この調査・分析の中で、議員のご質問にありました、デマンド方式のバスやタクシーの運行について、その検討も出てくるのではないかというふうに想定しているところです。
このデマンド方式の移動手段につきましては、ドア ツー ドアといった運行となることから、利用者にとっては大変便利な移動手段であると思われます。
しかしその一方で、好きなときに利用できるタクシーとはちがいますので、利用者の需要に合わない場合には、予約システムというような、大変膨大な維持費が必要ですが、この事業費負担だけが増大するというような状況もあります。
こういうことから、リスクを負う危険があるというふうに申し上げたところです。
今後、高齢化社会の伸展、あるいは環境問題などを踏まえますと、ますます公共交通の必要性や移動手段の確保といった需要が、多様な方法で求められてくるのではないかと予測しております。
このような状況から、移動手段の一つの方法として、本市の地域特性に適した事業であるのかどうかも含めまして、十分に調査・分析を行っていきたいと思っております。
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