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一般質問・その1
☆地域医療・保健計画について(1)
【1回目の質問】
最近、医療難民という言葉がマスコミに登場することが多くなりました。
これは、1つには、公立病院が医師不足のため廃院に追い込まれるケースで、転院先の確保が難しい患者さんが出現する問題、これがマスコミで取り上げられているということがあります。
もう一つ大きな問題としては、2006年1月、厚生労働省が医療費削減のために入院患者の平均在院日数を減らす目的として、療養病床の削減を打ち出したことが挙げられます。
これは、その時点で全国38万床あった療養病床、これは医療の療養病床25万床、介護療養病床13万床ですけれども、2011年末までに医療の療養病床は10万床削減して15万床にし、介護療養病床をゼロにするという大幅な削減方針を出したものです。
医療療養病床は、入院加療の必要性の高い患者さんに限って入院できるようにし、それ以外の患者さんの入院に対する診療報酬を大幅に引き下げました。
診療報酬の改定は、2006年の7月から行われたため、療養病床の閉鎖が既に起こっています。
2011年まであと2年という段階にきて、全国各地域でさらに療養病床の閉鎖が相次ぐだろうと予想されています。
では、この療養病床の入院患者さんはどこに行くのかということで、行き先のない医療難民の増加が懸念されているわけです。
厚生労働省がこの療養病床の削減を打ち出した背景には、医療費の削減だけではなく、療養病床に入院している患者さんの多くが…厚生労働省の調べでは、約半数というふうに言われておりますけれども…病気の症状等が安定しており、入院加療の必要がない、いわゆる社会的入院であるという現実もあります。
この調査に対して、継続的に入院加療の必要がないとする基準が現状に即していないという異論も出ておりますけれども、かなりの割合で、もう既に入院加療の必要のない患者さんが退院しても、看護や介護の手がないことなどから入院を余儀なくされているという現実があることは事実です。
そこで、厚生労働省は、この療養病床の削減後の対策として、2つの方向性を示しています。
そのうちの一つは、社会的入院を余儀なくされている高齢者にとっては、医療よりも介護が必要として、この療養病床のうち、一部は介護保険移行準備病棟や、経過型介護療養医療施設として、最終的には2012年までに老人保健施設あるいはケアハウス、有料老人ホーム等の介護施設へとの転換を図るというふうにしています。
しかし、このような介護施設への転換は、採算が成り立たないという大きな障害があって、なかなか進んでいないのが現実です。
厚生労働省が示しているもう一つの方針として、療養病床の削減に対応するため、その受け皿として在宅医療、在宅医療体制の充実を目指すというものです。
在宅医療を支えるためには、在宅療養支援診療所を中心として、かかりつけ医である開業医や訪問診療を行う医師、訪問看護を担う看護師、さらに薬剤師、種々の介護施設や訪問介護のヘルパーなどさまざまな人々のネットワークがなくては到底成り立たないことになります。
そこで、厚生労働省は、都道府県に対して地域医療計画を策定し、地域で在宅療養を可能にするシステムを各自治体や地域で整備するようにとしています。
しかしながら、埼玉県で在宅医療体制を盛り込んだ埼玉県地域保健医療計画を策定したのは2007年末で、計画期間は2008年から2013年までとしているため、県の計画に沿って春日部市が在宅医療の体制を進めてまいりますと、療養型病床の大幅削減に対応できない事態を招くことも懸念されております。
そこで、お尋ねいたします。春日部市としては、来るべき2011年を見据えて、現在どのように地域医療、保健施策を進めているのか、その現状についてお答えいただきたいと思います。
★折原良二健康保険担当部長の答弁
議員ご指摘のとおり、国は社会的入院を減らすための対策として、2011年までに入院ベッド数の大幅な削減を打ち出しているところでございます。
こうした入院患者の受け皿として地域医療を推進し、在宅医療体制の充実を図ることが必要であると認識しているところでございます。
そこで、地域医療・保健施策の現状でございますが、現在市内で訪問診療を行っている医療機関は、9機関でございます。
また、訪問看護を行っている機関は、7機関でございます。こうした医師、看護師に加えて薬剤師、介護ヘルパー、さらには市の保健師などが連携を図っていくことが、今後の在宅医療体制の充実を図っていくための重要な鍵であると考えているところでございます。
こうした連携の具体的な取り組みの例でございますが、春日部保健所の保健師、春日部市立病院の看護師、助産師会の助産師、市の保健師、看護師、栄養士などをメンバーとします春日部市保健看護ネットワーク研究会を設立いたしまして、昨年末に第1回目の会合を開催し、最新の医療情報についての勉強会を実施したところでございます。
今後もこうした定期的な勉強会を継続するとともに、春日部市医師会とも十分に連携を図りながら在宅医療体制の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
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