2010年6月議会一般質問(2010年6月15日)
その1・公共施設台帳の整備について(1)
☆1回目の質問
平成22年度は、財政的に厳しい状況の中で、修理補修費が捻出できないということから、市民プールが使用休止となり、豊春公民館の入浴施設の利用も中止となっております。
さらに、引き続き庄和保健センター旧館が、漏水のためトイレや冷暖房、そして水道などが使えないなど種々の公共施設が使えないという状態になっております。
春日部市が保有しております公共施設の多くが昭和40年代から50年代に整備されているとのことです。
今後多くの施設が老朽化するおそれがあり、計画的に維持補修を行っていかなければならないだろうと考えられますが、現在のように各担当課ごとに維持補修について予算を上げて対応するというやり方では、今後財政状況が好転しない限りは次々と使えなくなる施設が出てくるのではないかという不安があります。
そこで、公共施設については、全庁的に一元管理し、毎年計画的に必要な予算措置をとって維持補修に努める必要があるのではないかという観点から質問する予定でおりました。
しかし、先日の佐藤議員の質問に対する答弁で、既に昨年度このような観点から包括的アセット・マネジメント計画ーこれはアセットは資産を指し、公共建築物施設や道路、橋などの公共土木施設などの春日部市の資産であるアセット、これの現状を把握し、この資産を効率よく管理運用、つまりマネジメントするーということのようですけれども、この包括的アセット・マネジメント計画について職員研修を実施している、そして、その結果を報告書としてまとめたということがわかりました。
そこで、私は具体的に、この包括的アセット・マネジメントについて4点にわたってお伺いいたします。
1つ目です。
答弁の中で、今後庁内で十分に協議、調査し、課題を整理した上で計画を策定したいとありました。
しかし、このアセット・マネジメントの目的には、施設の管理、保全のコスト削減という観点とともに、施設を長寿命化させる、つまり適切な補修、改修をすることによって予防的な保全を行い、できるだけ公共施設を長もちさせるという観点が重要だと思われます。
春日部市の庁舎や学校、体育館等の公共建築物は、建築後40年以上経過した施設が全体の26%、つまり4分の1以上あり、さらに10年後になると56%、つまり半数以上が40年を経過するということを考えますと、一刻も早く計画を策定し、年次的な保全計画をまとめる必要があるのでないでしょうか。
この包括的アセット・マネジメントによる公共施設整備計画の策定を進めている自治体の例を見ますと、データベースの策定から外部委託し、およそ3年程度をかけて計画を策定している例が多いようです。
しかし、春日部市の、先ほど申し上げましたように40年を経過した施設が4分の1以上を占めているという現状を見ますと、今まで各担当課でまとめてきた管理台帳の修繕履歴、劣化度、損傷度、耐震性などの建築物の機能状況とあわせてアセット・マネジメントの計画のために、利用状況、運営費用などのコスト評価を加え、整備計画に必要な項目を統一の形式にまとめていくことで、庁内でそれほど時間と経費をかけずに策定できるように思われます。
経費をかけずに、できるだけ早く計画策定、実施することが重点課題だと考えられますけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。
2つ目です。
今後この整備台帳をまとめていく上でのポイントについてお伺いいたします。
ポイントとしては、基礎データの情報をもとに、保全に取り組む前に設置目的に対する利用状況を検討し、統廃合や施設規模の縮小などを進める。
また、市民サービスについて維持できる内容や水準レベルを検討するとあります。
さらに、保全計画を策定するに当たっては、保全する公共施設の選択と優先順位を明らかにするとあります。
では、この評価や選択、優先順位の決定はどこが、どのように行うのでしょうか。
また、その検討の過程の中で市民の意見を十分に反映していくことが求められると思いますけれども、市民意見の反映はどの段階で、どのように行われるのかお伺いいたします。
3つ目です。
財源の確保についてお伺いいたします。
報告書を見ますと、40年以上経過し、経年劣化が激しい施設の改修だけでも、今後かなりの財源が必要になると思われます。
しかし、一方で長寿命化を図るためには、従来のように損傷や劣化が発生してから補修、改修するという対症療法的な管理ではなく、年次的に手を加えて、損傷や劣化の発生を未然に防ぐ予防保全型管理への転換が必要になります。
財政的に厳しい現状で、この双方をきちんと進めていくためには、財源の確保が最重要課題になると考えられます。
公共施設というのは、言うまでもなく市民の財産であり、行政はその財産を守ることが求められているはずですから、きちんとその観点を踏まえ、予防保全型整備の含んだ財政確保を計画の中に加えていくのかどうかお伺いいたします。
4点目になります。
この包括的アセット・マネジメント計画は、既存の公共施設の保全だけではなく、今後整備されるであろう新しい施設、その整備計画についても適用するべきだと考えます。
新規事業について、財政運営上、過剰な負担にならない慎重な整備計画を立てることが今求められておりますけれども、新規施設の整備についても、この包括的アセット・マネジメント計画を適用するかどうか、その点についていかがお考えでしょうか。
☆菊地豊明総務部長の答弁
公共施設台帳の整備についてのご質問に順次答弁申し上げます。
1点目の作成する台帳でございますが、竣工年、延べ床面積などの施設情報、修繕履歴、保守点検の履歴といった情報だけではなく、議員ご指摘のとおり劣化度、損傷度、耐震性などの機能情報にあわせまして、利用状況、運営状況などのコスト評価も必要になります。
県内の先進事例といたしまして、越谷市の状況を視察し、確認しましたところ、越谷市では平成15年度から平成21年度までの7年間で約7,000万円をかけまして、また職員ではなく、業務委託により劣化度、損傷度なども含め施設調査を行っております。
劣化度、損傷度は施設ごとに現地調査を行い、建物本体、設備関係などを詳細に調査し、報告書としてまとめております。
したがいまして、業務委託をしないで、職員のみでの対応となりますと、どの程度の時間を要するかにつきまして、今後さらに調査研究が必要なものと考えておりますが、可能な部分につきましては職員で対応してまいりたいと考えております。
次に、2点目の評価や選択、優先順位の決定についてでございますが、どのように市民意見を反映させるかを含めまして、今後さらに庁内で十分に協議、調整してまいりたいと考えているところでございます。
次に、3点目の財源についてでございますが、厳しい財政状況の中、保有する公共施設の老朽化が進み、一斉に更新時期を迎えることから、今後大きな財政負担が予想されるところでございますので、保全計画を実効性のあるものとするためには、財政的な観点を踏まえ、財政当局と十分に協議、調整し、進める必要があるものと考えているところでございます。
最後に、4点目でございます。包括的アセット・マネジメント計画につきましては、既存施設の保全のみではなく、今後整備される新しい施設につきましても、建物設計の段階から建物の設計費、建設費などの初期投資と修繕、改修、運用費などの運営管理費及び解体処分までの建物の生涯に必要な総経費、いわゆるライフサイクルコストを勘案し、中長期的な保全費用を把握した上で適正な維持管理に努めていく必要があるものと考えているところでございます。
以上でございます。
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