2010年6月議会一般質問(2010年6月15日)
その2・福祉行政について(1)
☆1回目の質問
福祉行政についてお伺いいたします。福祉行政については、真の自立支援となる福祉行政のあり方、さらにセーフティーネットとしての機能を果たすための福祉行政のあり方という観点から質問いたします。
しかし、福祉行政は広範囲にわたるため、今回は主に生活保護受給者の問題を中心に伺います。
一昨年の秋以来の急激な経済の落ち込みによって、生活が困窮する世帯が増加し、生活保護受給世帯がどこの自治体でも著しく増加しております。
そこで、政府としても一時的に生活が困窮した場合は、生活保護などによって必要な援助を行いながら、同時に自立に向けた支援を行うことに重点を置いた施策を展開しております。
春日部市としても、この自立支援に向けて平成18年12月に自立支援プログラム実施要綱をまとめ、取り組んでいると伺っております。
そこで、福祉行政について、まず1点目は、この自立支援プログラムについて具体的にどこまで取り組みが進んでいるのか、その結果、自立に至った成果、そのくらい上がっているのかについてお伺いいたします。
また、もしこのプログラムの取り組みが思うように進んでいないのであれば、取り組みを阻害している原因にはどのような問題点があるのかについて伺います。
福祉行政に対して、2点目として、言うまでもなく福祉行政というのは、いわゆる生活弱者と言われる人々の生存権を守るためのセーフティーネットとして種々の施策を行うものです。
ところが、現実には本当に支援が必要な人のところに必要な支援が届かないというケースが間々見られます。
例えば生活保護の受給の申請に訪れた人の中には、仕事とともに住まいも失ったというケースもあります。
春日部市では、そのような場合には低料金、無料宿泊所をあっせんしていると伺っておりますけれども、この宿泊所の中に、いわゆる貧困ビジネスと言われるものがあり、入居すると家賃、光熱費、最低限の家財のリース料あるいは食費などで生活保護費の大半が消えてしまい、なかなかその生活から抜け出せないケースがあると聞いております。
また、母子家庭の自立支援でも、資格のとれる専門学校などに入れるゆとりのある人に対する支援はあっても、そこまでのゆとりもなく、なかなかスキルアップできない人に対する自立支援策がないという実態もあります。
職を探さなければいけないけれども、幼い子供を抱えていて、認可保育所はいっぱいで入所できない。しかしながら、無認可保育所の保育料は払えないため、なかなか職を探せないケースなどもございます。
最近かかわるケースの中では、施策と施策のはざまの中で、制度と制度のはざまの中で支援の手が届かず、いわゆる困難な事例になってしまうという実態が間々見られます。
福祉行政のあり方の2点目として、このような実情に対応できるようにするために、今福祉行政に何が求められているとお考えなのかお伺いいたします。
☆亀井 充 福祉健康部長の答弁
初めに、福祉行政のあり方について、生活保護者の自立支援プログラムの有効活用と現状についてのご質問に答弁申し上げます。
まず、春日部市自立支援プログラムについての策定経緯でございますが、国は12年5月10日の社会福祉事業法等の一部改正法案に対し、法改正の対象とならなかった社会福祉事業のあり方、障害者に対するサービスのあり方及び生活保護のあり方について十分検討を行うことが必要であるとの附帯決議が示されました。
さらに、17年2月に、国の社会保障審議会福祉部会にこの報告書が提出されたことにより、県を通じ各福祉事業所においても生活保護者の自立支援プログラムの導入が求められました。
これを受け、本市においても18年12月に春日部市自立支援プログラム実施要領を策定したものでございます。
次に、自立支援プログラムの目的でございますが、生活保護制度は生活保護法第1条に規定する、生活に困窮するすべての国民に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長する制度となっていることから、さまざまな問題に対し、組織的に被保護者の自立を支援することを目的としたものでございます。
本市の状況でございますが、実施要領により被保護者世帯全員の状況を把握した上で、被保護者の状況や自立阻害要因について類型化を図り、それぞれの種類において取り組むべき自立支援の具体的内容を定め、これに基づき、個々の被保護者に必要な支援を組織的に実施しているものでございます。
この自立支援プログラムの実施に当たりましては、
・被保護者の同意を得ることが必要なこと
・決定した支援方針を本人が理解し、みずから自立に向け取り組むこと
が重要となってくるものでございます。
しかしながら、ここ数年の長引く経済不況による雇用状況の悪化により、急激な被保護者の増加もあり、各ケースワーカーの担当件数の増加や、被保護者の多様化などの理由により十分に機能し切れていない状況となってございます。
そのような中で、21年度に専門の就労支援員を1名雇用し、就労支援相談を実施し、徐々にではございますが、被保護者の就労が開始され、その効果を上げてきております。
また、ことしの6月は生活困窮者の面接相談員を雇用し、きめ細かな相談ができるよう相談体制を整備し、自立支援プログラムの実施とともに、生活保護受給者の自立助長に向け取り組んでいるところでございます。
次に、2点目の生活弱者に対する福祉行政に求められているものについて答弁申し上げます。
長期化する景気低迷により生活保護の申請も増加している中、自立に向けた対策として、各担当部署においては次の主な支援を行っております。
まず、障がい者福祉課の自立支援の施策としましては、障害のある方の日常生活及び社会生活を支援するため、福祉に関する相談を実施しております。
今後とも支援事業所と市で連携を図り、協力体制を充実させていきたいと考えております。
また、春日部市自立支援協議会におきましては、障害のある方の生活を支えるために地域の関係機関によるネットワーク構築に関することなどを協議してございます。
次に、こども家庭課の自立支援の施策としましては、母子家庭、母子世帯の対応では遺児手当の支給、交通遺児援護金の支給、母子家庭自立支援教育訓練給付金、児童扶養手当の支給などを行っております。
また、DVの対応ではケースワーカーを配置し、社会福祉課の生活保護担当など各関係機関と綿密な連携を図り、対象者の自立助長に取り組んでおります。
次に、高齢介護課でございますが、高齢者の自立支援の施策としましては、みずからの生きがいの充実や健康づくり、社会参加への機会の増大などを目的に老人クラブやシルバー人材センターへの補助や生きがい活動、支援通所事業などを行っております。
このような施策を中心に可能な限り関係機関との連携を図りながら、真に必要な支援を図っていくことが現時点では福祉行政を進める上で重要なことと考えているものでございます。
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