2010年12月議会一般質問
その1・地域公共交通総合連携計画について
1回目の質問
春日部市地域公共交通総合連携計画についてお伺いいたします。
この質問については、私で5人目となります。なるべく今までと重複しない形で、別の角度から質問させていただきたいと思っておりますので、答弁のほうも明確によろしくお願いいたします。
1つ目として、策定の経過についてお伺いいたします。この計画の目的と、それに沿ってどのような協議が進められたのか、その経過についてでございます。
春日部市地域公共交通総合連携計画は、国の地域公共交通活性化再生事業の対象事業として国に計画を示し、支援を受けることを目的として策定されているはずです。
地域公共交通活性化再生事業では、その目的の一つとして、
「これからは今まで経験したことのない高齢社会に向かって、従来主に公共交通と自家用乗用車の利用が担ってきた交通体系を、自家用車を利用できない人が増加するという社会の大きな変化に向けて、交通の不便さが生活に大きく影響を与えないよう、地域で支えていける仕組みを地域で構築していく」
ということが上げられています。
そのほか、環境問題として、CO2削減のためにマイカー利用から公共交通機関への乗りかえ促進なども上げられていますけれども、それらの目的達成のために、地域ごとに具体的な、その地域に合った交通体系を行政と事業者、利用者である市民が検討し、その計画が持続可能であるかを実証実験するところまでが事業の対象となっているはずです。
春日部市でも、この計画を策定するに当たっての基本方針として、あらゆる世代にとって便利で体系的な公共交通ネットワーク、もう一つ、地域全体で支える持続可能な地域公共交通の運営体制、この2つを大きな柱として示しています。
☆1つの選択肢のはずの春バスを軸とした計画策定は疑問
そこで、まず1点目ですけれども、このような基本方針が上げられているにもかかわらず、この計画を策定するために設置されております地域公共交通活性化協議会の第1回目で、協議会の役割と位置づけについて、
「春日部市としては、春バスの見直し時期となっていることから、春バスの見直しを軸として計画の策定及び事業展開を進めていきたいと考えているので、皆様のご協力をお願いする」
と、最初から春バスありきの計画策定であるような説明をしています。
本来であれば、春バスというコミュニティーバスは地域の公共交通体系を考える上の一つの選択肢であるはずなのに、最初から春バスありきの協議の進め方ではなかったのか、大いに疑問を持たざるを得ません。その点についての見解をお伺いいたします。
☆持続可能な交通ネットワークをいかにつくっていくかの議論は充分だったのか
公共交通の2つ目の質問になります。
総合連携計画という考えについてお尋ねいたします。
この計画は、先に述べましたように、従来の交通施策を見直し、持続可能な交通ネットワークをいかにつくっていくのかということが主題になっております。
持続可能となるためには、
1つ、利用者の視点からの一定のサービス水準が確保できること
2つ目、交通事業者にとって採算がとれること
3つ目として行政負担が過度に重くならないこと
これらの時には相反する要素を満たしていかなければならないとされています。
かなりハードルの高い課題となります。だからこそ、行政だけでなく、交通事業者と地域住民が一体となってこれからの交通体系を考えていこうというのが大きなポイントになっているはずです。だからこその総合連携計画なのではないでしょうか。
利用者の視点からの一定のサービス水準を確保するためには、交通不便地域の解消も必要です。
しかし、交通不便地域以外の地域でも、現実としては、バス停まで距離があり、移動手段がないため、買い物にも不自由だったり、行きたいところになかなか行けず、外出の機会が大幅に減ってしまったりしている潜在的な需要の掘り起こし、これも必要だという観点からの見直しも求められているはずです。
また、高齢化が進む今後を考えると、今まで自家用車を使ったり、自転車に乗ったりして自由に移動できていた人ができなくなる、そういう人たちがふえることは確実です。
私も間もなくその一人になると思います。
従来の交通施策では目が届いていなかったこれら潜在的な需要を掘り起こすことこそ、多様な市民ニーズにどうこたえていくのかということに通じるはずです。
また、その点が利用者の増加につながり、持続可能なシステムの実現になるのではないでしょうか。
せっかく、先ほど述べた協議会の中で委員の方からもそのような指摘があり、それに対して、1つは、高齢者社会への対応、地球温暖化への対応、春日部、庄和両地域の交流促進とともに、市民ニーズ、利用者ニーズへの対応について、さまざまな交通機関がどうかかわっていくのかということについて議論を進め、結論を出していきたいという明確な方向性を示しています。
なぜその議論が協議会の中で深められていかなかったのでしょうか。
☆住民との意見交換会が開かれなかった理由は?
また、計画策定に向けた調査の進め方の中で、このような潜在的ニーズを把握するために地域住民との意見交換会も設定されていました。
栄議員のこの質問に対して、住民との意見交換会は地区計画を策定する際に行うとの答弁がありました。
しかし、今回の計画は、今後の春日部市の総合的な交通体系がどうなるのかという市民全体にかかっている問題のはずです。だからこそ、計画策定の進行スケジュールの中では9月ごろに住民との意見交換会を行うとされていたのではないでしょうか。
この意見交換会が行われないまま計画策定に至ったのは大きな問題だと思います。
この計画が地域公共交通総合連携計画とされており、そのポイントとなるのが、繰り返しますけれども、行政、事業者、地域住民との連携であるからこそ総合連携計画とされているのに、策定の段階でどのように連携するかが模索されていないように思われることが、この住民との意見交換会を開かなかったことからもうかがえます。なぜ意見交換会を行わなかったかについてお答えいただきたい、これが2点目です。
☆新たな交通サービスの検討が行われなかった理由は?
3つ目です。新たな交通サービスの検討についてお伺いいたします。
この計画の最も重要な点は、今までの交通体系にこだわらず、多様なニーズにこたえることができるシステムを構築し、地域公共交通を活性化させるために、あるいは持続可能なものとして再生するために、従来のサービスだけでは行えない部分について新しい交通サービスについても検討するという点にあるはずです。
しかしながら、新しい交通サービスについては、当初は、予約をすれば、路線が決まっておらず、自分の行きたいところに行きたいときに行けるとして今注目を浴びておりますディマンド交通も上げられていながら、ディマンド交通や乗り合いタクシー、そのほかの地域が担うシステムなどの具体的な検証は行われず、計画のまとめとして、
・A案、ワゴン車等車両の地域への貸し出し制度
・B案、乗り合いタクシーサービス
この2つが盛り込まれているのはどうしてなのでしょうか。
地域公共交通活性化を実現していくためには、利用者である地域住民との協働が不可欠であり、自分たちの足は自分たちで守るという認識を持ってもらうことが持続可能なシステムにするための大事なポイントだと、今まで取り組んできた先進市の事例は教えています。
そこがかぎを握っているのにもかかわらず、先日の部長の答弁では、あたかもタクシー事業者から乗り合いタクシーの提案があったから、乗り合いタクシーの案を採用したかのように受け取らざるを得ませんでした。
新たな交通サービスの検討について、1つ目は、なぜ、さまざまな先進事例を検討し、春日部市の中ではどのような新しい交通サービスが適しているかの具体的な検討がなされなかったのかについて伺います。
☆春バスを4台に増やして利用者が5倍になるとした根拠は?
さらに、この新しい交通サービスは、現在コミュニティーバスにかかっている行政コストの削減につながる可能性も秘めているはずです。
今回の春バスの再編計画と並行して、春バスと新たなサービスでは、どちらが市民にとって便利なのか、費用対効果が高いのかなどの検討をしたという資料は残念ながら示されておりません。
そこで、これに関連して2点目として、春バスを4台で運行し、新たなルートをつくることによって、行政経費は現在とほぼ同額の1,490万円であるとした点の根拠をお示しください。
またあわせて、利用する側に便利になって、利用者数が現在の5万6,000人から一挙に26万6,000人と飛躍的に拡大できるとした根拠はどのような調査から割り出されたのかについてお伺いいたします。
★松沼 貴都市整備部長の答弁
☆春バスは市の唯一のコミュ二ティ交通であることから基軸においたもの
1点目の策定の経過でございますが、計画の策定に当たり、春バスの運行見直しの時期を迎えておりますことから、総合連携計画の策定とあわせて春バスの第2次運行計画を策定していきたい旨を協議会に提案したものでございます。
春バスの計画策定につきましては、現行の春バスの運行開始から市民及び議会等において、春バスの充実、拡充に関した多くのご意見、ご要望が寄せられている状況にあり、運行に係る基準などが明確でないため、現在の春バスは今後限りのない事業になるのではとの懸念をしておりました。
そこで、春バスの運行につきましては、市域における公共交通のどの部分を担うべきかなどを検討していくことが重要ととらえておりました。
このことから、市は唯一のコミュニティー交通である春バスを基軸に置き、連携計画を策定していきたい旨、趣旨を伝え、協議会で検討をしていただいたこととしたものでございます。
なお、連携計画の目的は、公共交通の全体の利用者の増加、収益性の向上を図り、持続可能な地域公共交通の実現としております。
☆持続可能なネット枠に向けた基本的な考え方や基本施策等を整理した計画になっている
2点目の総合連携計画という考え方についてのご質問でございますが、このたびご提案をしております計画は総合連携計画と春バス再編計画の2部構成となっております。
この総合連携計画の中で、協議会においても交通手段の向上から高齢者の健康保持を促すなどのご意見がありましたように、高齢化社会や温暖化に係る対応等につきましては、
・少子高齢化に伴い、通勤通学による交通利用者及び自動車運転者の減少、交通弱者の増加により通院や公共施設への移動
・都市観光を目的とした公共交通の需要が増加するという点
・並びに温暖化対策として、人口密度の高い市街地においては、自動車から徒歩、自転車、バス、タクシー等の公共交通への転換を図る
このような点を考えております。
この考え方から、総合連携計画は、各駅を中心とした交通目的と需要時間を考慮した交通体系の構築などや、またエコの観点で、自動車から徒歩、自転車及びバス、タクシー等への公共交通利用の転換を図ることで、持続可能なネットワークに向け、基本的な考え方、基本施策とその実施主体及び計画に位置づける事業を整理しております。
先の第5回の協議会の状況ですが、委員から基本施策に関する意見で携帯電話を利用した運行情報の提供、計画に位置づける事業に関する意見で、駅におけるバス、タクシー運行の案内、また考えられる新たな公共サービスに関する意見でバス路線延伸の方向性についての議論などがありました。
このような協議を行い、協議会において連携計画案に関しては一定の理解をいただいていると考えております。
☆新たな交通サービスを導入する地域や方法について特定できなかったため、住民との意見交換会は実施しなかった
次に、地域住民との意見交換につきましては、協議会においてディマンド方式や乗り合い方式についての資料提出や会議の進行において協議内容として取り上げてきた経緯がありますが、残念ながら議論になる状況にまでは至りませんでした。
その理由として、公共交通需要側の意見として路線バスや春バスの充実を求める内容が主であり、公共交通供給側の意見としては、コミュニティー交通に係る行政経費は交通利用券などを発行することが公平であるという意見、費用対効果に関する内容が主であったと感じております。
このような結果から、考えられる新たな交通サービスを導入する地域や方法について特定できなかったことから、予定しておりました地域住民との意見交換は実施に至っておりません。
3点目の新たな交通サービスの検討についてのご質問でございますが、市では、連携計画策定において、議会を通してバスの充実及びディマンド方式や乗り合い方式の交通手段の導入などのご意見をいただいておりましたことから、連携計画でこれらの交通手段が図れるよう、協議会の交通事業者、委員と直接的に意見交換をしてまいりました。しかしながら、協議会での場においては議論に発展しなかった状況でございます。
次に、新たな交通サービスと春バスの利便性と採算性についての比較検討につきましては、先ほど答弁いたしました内容でありますことから、新たな交通サービスと春バスとの比較検討は実施しておりません。
なお、春バス運行は、先ほど答弁いたしましたとおり、他の事業より先行して実施してまいりたいと考えております。
☆春バスの運行路線ごとに、目的別、時間帯別で公立のよい運行時間帯を想定し、種々の統計から利用者数を割り出したもの
最後に、春バスの運行の行政経費の算出根拠についてでございますが、算出に当たりましては、まず通勤通学、通院、通所、買い物及び公共サービス利用の目的別需要量を求め、その目的別需要量からバスの利用者数を算出しております。
次に、バス利用者数を利用時間帯別に振り分け、春バスの運行路線ごとに、目的別、時間帯別で効率のよい春バス運行時間帯を想定いたしました。
さらに、振り分けたバス利用数の時間帯と想定した春バス運行時間帯に合致した人数を最終的な春バス利用需要量として算出をしております。
その結果として、1日の想定利用需要量につきましては887人となり、この想定利用需要量から年間行政経費、年間想定需要量を算定しております。
算出に用いた資料につきましては、平成17年国勢調査データ、それから路線沿線の300メートル圏の地区別面積と地区別人口密度、それからパーソントリップ調査のデータ、それと病院の公表データ、それから経済産業省指針の1平方メートル当たりの来店者数の単位、それから行政統計資料などでございます。
また、行政経費、想定需要量の比較検討を行う上で、行政経費は現行の春バス運行経費を用いておりますが、停留所設置などの初期費用及び割引利用者を含めず、年間の運行日は300日で算出をしております。なお、この算出した数値は最良値として計画しており、営業係数が156でありますが、平成27年度までの目標値の営業係数は250と設定したところでございます。
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