2011年6月議会・一般質質問その1
地域公共交通総合連携計画について
この質問については、3月議会で取り上げさせていただく予定でしたけれども、質問取り下げとなり、文書質問をさせていただきました。
文書で回答をいただきましたが、まだ疑問が残っておりますので、6月議会で質問させていただきます。
☆計画策定の目的が達成できる計画になっているか
まず、1点目です。
今回の計画ですけれども、地域公共交通総合連携計画、この計画を策定した当初の目的が達成できる計画となっているかどうかについてお伺いいたします。
地域公共交通総合連携計画を策定した目的として、「路線バス、春バス、タクシーの各事業者等の連携により、地域公共交通ネットワークの全体的な利便性を向上させることで、公共交通全体の利用者の増加、収益性の向上を図り、持続可能な地域公共交通の実現を目的として策定する」とされていました。
ところが、作成された計画を見ますと、地域公共交通のネットワークの見直し等については具体的な方向が示されておらず、結果的に春バス、コミュニティバスの見直しに重点が置かれているように思われます。
この点については、計画案が示されてからパブリックコメントを中心に市民の皆さんからも、また議会でも多くの疑問が指摘されてきました。
◇利用者の見込み数は的確か
公共交通全体の利便性が向上し、利用者が増加することと収益性が向上することは表裏一体の関係にあることは言うまでもありません。
そこで、まずこの地域公共交通総合連携計画が策定の目的を達成できるものとなっているかどうかについて、利用者の見込みという観点からお伺いいたします。
計画案の中で、春バスの利便性を高めるために、バスを4台にして運行経路を見直すとしたことについて、現在の2台、4ルートの運行でも年間約1,600万円の赤字が出ているのに、4台にしても1年に1,490万円ほどの赤字で済むとする根拠について多くの疑問が出されました。
その疑問に対しては、新たなルートや時間帯の設定では利便性が向上し、乗客数が現在の年間5万6,000人から26万6,000人と大幅に増加することが見込めるため、このように算出したとの答弁がありました。
ところが、この地域公共交通総合連携計画と同時期にまとめられました社会資本総合整備計画の中では、コミュニティバス運行事業として、南桜井駅を起点とする1ルートと春日部駅を起点とする1ルート、合わせて2ルートで5年間で約1億円余りの事業費が予定されております。
つまり4ルート、4台の運行計画のうち、2台分で1年間に2,000万円以上の補助が必要となると見込まれているのです。
この点について伺ったところ、新たな運行ルートで経費を積み上げていった結果、このような事業費となったということでしたけれども、では一体地域公共交通総合連携計画の見込みは何だったのかという疑問が生じます。
ひいては利便性の向上により利用者の増加、収益性の向上が図れるという目的が、この計画で達成できるのかについても疑問が持たれるということになります。
その点について、どうお考えなのか、お伺いいたします。
☆市民参加について
地域公共交通総合連携計画の2点目、計画策定段階での市民参加についてお伺いいたします。
この計画を策定する際の市民参加の場としては、協議会の委員として公募委員を加えたことと計画案がまとまった段階でのパブリックコメントの募集が挙げられます。
パブリックコメントについては、177人の方から197件の意見が寄せられました。
しかし、計画を修正してまとめられた計画を見ますと、その市民意見が反映されているとは思えません。
197件のコメントのうち、タクシー業界の方からの意見を除くと最も多かったのが、春バスを含む路線と運行時間が定められたバスでは特定の市民しか利用できず、特に春バスについては空の状態で走っていることが多いので、税金の無駄遣いになるのではないかというものでした。
また、それらの意見の中には、だからこそ路線や時刻表が定められていない、乗りたいときに予約することによって目的地に行けるオンデマンド交通などの新しい交通システムについて、ぜひ検討してほしいという意見も多く寄せられました。
春日部市は、この地域公共交通総合連携計画を国の地域公共交通活性化再生総合事業の対象となるよう取り組んできているはずです。
国でも地域の多様な公共交通に対するニーズにこたえるためには、定時、定路線のバスには限界があり、乗り合いタクシーやオンデマンドタクシー、バスといった新たな公共交通についての検討が必要としています。
これらの導入についての実証実験等の支援を打ち出しています。
パブリックコメントに寄せられたご意見は、これからの高齢化が進む春日部市の今後の公共交通のあり方を考える上では、貴重な意見であり、国の今回の地域公共交通活性化再生総合事業の目的を理解したものと私は考えております。
それらの意見がこの計画には反映されなかったのはなぜでしょう、2点目としてこれについてお伺いいたします。
☆市長に問う
最後に、この地域公共交通総合連携計画について市長にお伺いいたします。今まで述べましたような、今回の地域公共交通総合連携計画の策定のあり方に対する疑問についてお伺いいたします。
市長は、平成23年度の予算編成に当たっての施政方針として、地域の個性や市民の皆様の声に敏感になること、機を逃さず、柔軟かつ迅速に行動すること、既成概念にとらわれることなく、現状を打破する新しい発想を持つこと、この3点を徹底すると述べられていらっしゃいます。
このような方針に照らして、今回の計画策定について、どのようにお考えになるのか、伺います。
★香田都市整備部長の答弁
最初に、地域公共交通総合連携計画についてのご質問でございますけれども、策定の目的達成についてのご質問でございますが、私この連携計画の協議会の会長という立場でこれまで議論してまいりましたので、当初の目的は達成しているという前提に立ってお答えを申し上げたいと思います。
☆計画達成時点での乗客数と、それから現時点での5カ年での計画数には差がある
まず、1点目の今回の春バス再編計画の年間利用者の見込みということでございますけれども、庄和地域の例を用いてご説明申し上げたいと思います。
年間利用者数の基本的な数値といたしましては、平成17年度国勢調査をもとに、春バス路線300メートル圏内の沿線人口を2万2,738人、1日の通勤通学者数を7,304人と算定いたしました。
また、1日の買い物目的者数を主な商業施設の売り場面積を参考にいたしまして1万207人、また1日の通院目的や公共施設利用者目的数など、各施設からの情報提供や公表の資料を用いまして839人と算定しております。
こうした算定数値をもとに、平成20年度東京都市圏におけるパーソントリップ調査による通勤通学目的、買い物目的、通院目的などの目的ごとのバス利用率と沿線人口の割合から、それぞれの目的に応じたバス利用者数の総定数を求めたところ、通勤通学者数が98人、買い物者数が102人、施設利用者数が72人ということで、1日当たり272人のバス利用想定人数を算定したところでございます。
最後に、この算定したバス利用想定人数をパーソントリップ調査及び春バスの利用者アンケートから、利用目的に応じた利用時間帯を想定いたしまして、その利用時間帯ごとにバス利用想定人数を案分した数字を求め、春バスの1日の運行人数ということで想定して出したものが、庄和地域につきましては165人というものでございます。
同じように4ルート、各ルート同じような算出と行いまして、1日の想定人数といたしまして4ルート合計887人としております。これを運行日数、おおむね300日ということで倍しましたところ、26万6,000人が1年間の想定利用者数ということでございます。
次に、社会資本整備総合交付金の春バスに係る事業費と地域公共交通連携計画の春バスに係る事業費の相違について答弁申し上げます。
まず、地域公共交通連携計画は計画目標値で年間の利用者を26万6,000人とし、行政経費をバス停留所にかかる初期投資や車両にかかる費用を除き、4ルートで年間1,500万円程度というふうにしております。
また、社会資本整備総合交付金では、庄和地区ルート、春日部幸松地区ルート、それぞれの1ルート分、平成23年度から27年度の5カ年分の事業費を予定したものでございます。
こちらの1ルートの事業費につきましては、5年分で5,200万円としておりますが、内訳は停留所設置及び停留所環境整備等の初期投資にかかる費用が約500万円、車両整備にかかる費用が約1,900万円ということで、残りの2,800万円余りを収入分を除いて実行運行経費としたものでございます。
この実行運行経費は、来年度から4年間分としておりますことから、1年分では約700万円と見込んでいるところでございます。
算定額の差につきましては、計画達成時点での乗客数と、それから現時点での5カ年での計画数の差によるものというふうに考えているところでございます。
☆オンデマンド交通については、公共交通不便地域解消の中で可能性を検討する
次に、2つ目の企画段階での市民参加についてのご質問に答弁申し上げます。
今回の計画策定では、春日部市地域公共交通活性化協議会において計画案を検討し、議会に計画案をお示しし、その後市民参加推進条例にのっとり市民意見提出制度、いわゆるパブリックコメントを実施した後、最終的にいただいた意見を参考にして、地域公共交通活性化協議会において審議し、策定に至ったものでございます。
この計画案に対するパブリックコメントは、合計で197件ございました。
意見の概要といたしましては、現行春バス路線の維持、春バス運行ルートに対する変更規模、路線バス運行の拡充、タクシー利用の促進及び議員ご指摘のオンデマンド交通の導入等、公共交通拡充に関する意見がある一方で、春バス拡充に対して否定的な意見もございました。
こうした中で、オンデマンド交通等につきまして14件の意見をいただいたところでございますが、このオンデマンド交通につきましては、地域公共交通総合連携計画にあります新たな交通サービスによる公共交通不便地域の解消の中で、その可能性について検討していく予定でございます。
★石川市長の答弁
地域公共交通総合計画の策定については、地域公共交通活性化協議会において十分な協議を行ったものであり、市民の声の十分な反映や既存の運転方法の大きな見直しなど、適切な対応が図られたものと考えております。
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